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  映像研究

 
高木正勝という人の『山咲み』(やまえみと読むのですね)というCDとDVDを買って聞いている。オンラインで購入してみた『Marginalia』という曲も本当に良い感じだった。坂本龍一という人が新しく出した音楽も気になるけれども、そういう自分はいまピアノの音が聴きたいということなのか。ところで仕事場で準備中にもう10年以上の付き合いになる同僚に「高木正勝のCDを買って...」という話をしたところ「あなたはかつて高木正勝のことを全然良いと言っていなかった」という指摘を受けて、やっぱりそういうことって覚えているんだなと、言った方も、言われた方も、お酒を飲んでいてもいなくても、自分もその頃の感じやもちろんその話をした時のことを覚えていて、いやしかしそうなんですよ今は、みたいなことを話して、そのことをきっかけにして当時よく聴いていた音楽や、その当時注目されていた映像のことなどを思い返す。


・気がつけば幾度もこの備忘録に書いたり誰かに話したりしているけれども(それは自分の考えや志向が変化する記録である)自分が高木正勝という人の映像を面白いと思ったのはおそらく2010年だったか東京都現代美術館の『トランスフォーメーション』の映像作品で、そのときにはっとする感じがあり、そして『おおかみこども』を挟んで、ウェブサイトで京都での生活を読んで、写真を見て、何か惹かれるものがあって、それからようやく音楽を聴くようになった。同級生(同学年)ゆえのちょっと素直に好きとか良いとか言えないことを差し引いても、ある時期以降の音楽には、何か言葉にし難い良さがある。自分のいまの生活にはない、決して望んだからといって手に入るのでもない、手に入れたいのかどうかもわからない、しかし、ああいう人が、ああいう場所で、ああいう生活を営んでいることが、どこか希望でもあるような、そういう存在になっていて、そこから届けられる音楽を(普段は完全に忘れながら)待っている。