&

  映像研究

いろんな人

・20230908、と数字を並べていまはもう秋。この年の曲がり角。涼しくなる予感とともに新しい季節に踏み込みつつある。昼から夜まで業務。雨が一日降りそうだから駅の近くの駐車場に車を停めた。台風は上陸寸前に熱帯低気圧に変わる。集まっていたものが解散するようなイメージ。解散しても行き場を決められず会場周辺にたむろするイメージ。そういう事がある。

 

・何かの拍子にふと口をついて出る言葉があり、ふと口をついて出る歌がある。「いろんな人がいるよね/いろんなことがあるよね」はゆらゆら帝国の『太陽の白い粉』の一節(一フレーズ)だけれども、そうとしか言いようのない気分が、自分にはある。そのたびに口ずさむ。いろんな人がいるよね、いろんなことがあるよね、と。批判でも、肯定でもない、もっと茫漠とした気分。

 

・本来拡散していく諸々を、集めて、束ねて、かろうじて、言葉を発している、または書いている、と感じる状態も時折ある。眠ることは、その集める束ねる力を緩めることでもある。あるいはアルコールの適切な摂取は、意識を保ちつつ少しその力を弱めることになるだろうか。週末だから。

 

・「いろんな人」を、わざわざ言葉にせずとも、それぞれ個別の存在として感じていることの不思議を思う。その不思議があるからこそ同時に、「似ている」と感じることの驚きもある。あるいは久しぶりに会った人の印象の変化、一方的に知っていた人と現実に目を合わせたときの小さな衝撃も。年を重ねると、他者の感じ方も変化する。幼いとき、若いとき、現在のいずれかが解像度が高いなどとは一概に言えない。その時々で微細で複雑な情報を感じまた読み取っている。

 

・生物は当然のことながら、物質や植物を観察し、変化とともに情報を読み取ることには、独特の面白さや手強さがあるのだろう。それを行う「いろんな人」がいる。