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  映像研究

開いて閉じる

・後から書いておく春の業務の記録。5日間の集中講座が今日で終わる。ぎりぎりまで準備をして、開いてしまったらあとは即興で、動きながらより良い方法を探り、大抵は偶然に助けられながら、気づけば終わって閉じられる。

 

・久しぶりに業務の場面で会話をしていて、以前よりも沈黙に耐えられるようになったことに気がついた。言葉が途切れて、相手の言葉を待ってみる。あるいは「待つ」ともまた違う、無言の時間もあり得ると感じている。悪くない。時計は進む。しかしそれは必要なことであると思う。自分の年齢が増えて自然とそうなったようにも思う。それも含めて必要なことである。「他の方法」はない。

 

・新しい年度が開くと、新しい人たちが現れて、新しい固有名詞が聞こえる。その固有名詞を手掛かりにして、現代の映像をめぐる環境についても知りたい。便利な言葉としての「フィールド・ワーク」。教室と呼ばれる空間はフィールドでもあり得た。

 

・業務の規程の時間のあとに、かつて学生と呼んでいた人たちが集って訪ねてくれた。近況を聞く。変わることと変わらないことを感じる。普通に話していたが、自分が二日酔い気味だということはばれていた。ある人の振れ幅。中心の範囲からのずれ。自分の存在もまた他者によって受け取られている。

 

・帰宅して、息をついて、やはりある程度は自分も緊張していたことに気がついた。去年のような「綱渡り」のイメージはないが、それでも、ある場を新しく開くときに特有の緊張はある。言葉を共有していない人の間に生まれる言葉。手持ちのカードを投げるだけでは足りない。

 

・夕食は、蒸し野菜と蒸し肉。蒸せば大抵美味しい。塩味の強いものが食べたい季節が過ぎて、素材自体の味を欲しいと思うようになっていた。この変化は何か。週末のお花見まではアルコールを数日控えてみる。水を飲んで、マヌカハニーを舐めて、引き続き暖かくして眠る。