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  映像研究

冬の風景

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・昨日会った友人が冬の山の話をしていて、美味しい食べ物の話を聞いて涎が出るように、目が枯れた草を見つめる意識がはたらく。数日前に写した写真はいつも駅まで向かう道から少し離れた川沿いの行き止まり。枯れた草が茂る場所に立ってみて写す。寒い外を歩くことは好まないと思ってはいるけれども、義務や予定から離れるならば、冬らしい風景に身を置くことは好ましい。枯れた草に冬の日差しが注ぐ。枯れた草はしかし、枯れているように見えるだけで枯れてはいないかもしれなかった。土に立つ水分が失われているように見える植物の姿。光と一体に感じられる存在。その集合。集合であり一つの存在でもある。冬の山を歩いていてふと立ち止まった場所にあるような、大きな石を想像する。冷たく湿った石。日差しを浴びて乾いた石の温かさ。その温かさの下の硬い冷たさ。フリースにくるまれた身体から手を伸ばしてそれに触れる。あるいは写真にうつす。