&

  映像研究

メッセージ

・201909270028。日付をまたいで。あいちトリエンナーレ補助金交付中止の問題でTwitterFacebookのタイムラインをスクロールしていたら眠れなくなってしまった。言葉を失う。元々言葉を失い続けながら今の状況があると思っているが、この出来事に関しては、今まさに言葉を発する力が抜き取られるような感覚もある。これまでの日常的な自分のコミュニケーションのすべてが無意味に思えるような感覚すらある。この状況で本当に有効なメッセージとは何か。

 

・オンラインの署名をする。SNSで賛同を示す。それは自分にできることだ。もしも業務を免れていたならば文化庁前に行ったかもしれない。「多くの人間がこの判断を間違っていると考えている」ことを表象する一部になる。その一部になることを受け入れる。それも一つのメッセージであると思う。この場合のワン・イシューは「交付中止の撤回」であるだろう。しかし誰もが気づいていてゆえに言葉を失いそうになるのは、このような決定をしても許されると判断したその基準となる雰囲気が確かに存在することである。その雰囲気の中で生活していることを認めることは苦しい。

 

・ワン・イシューを大きくしていくことが、ひとつ。しかし別のメッセージを構想する必要がある。「本当に有効なメッセージ」とは、そうした雰囲気に対して何ができるかということであるのだ。しかし「分断」は問題ではない。「分断」という語は偽の問題であるように思う。考えや嗜好の違いはいつでも同じように存在していたように思う。だから「孤立を恐れず自分の言葉でメッセージを構想すること」を促すことが、もうひとつ。個が個としてメッセージを発することを肯定して、なおかつ暴力と批評性に対して常に敏感でありながら他者の声をよく聴こうとすること。そのような態度を指し示すこと。