&

  映像研究

春から冬へ、夏へ、歩いて移動する

 
・5月3日から6日までの奥秩父トレイル。前日の2日に先発隊3名が奥多摩からスタートした4泊5日の行程に2日目から合流する。奥多摩から雲取山へ、そして笠取山から甲武信ヶ岳を経て、金峰山から瑞がき山荘までのコース。それにしても3泊、しかもベース地点を設けない完全な縦走ともなると、パッキングするものの選び方や量がはっきりと変わってくる。食べるものも基本的にはサービス精神は低め。行動食も同行者にオススメするよりは自分が最低限必要なものを持って行くという判断。必要なものを必要なだけ持って歩くという試みは「バックパッキング」のシンプルなかたち。もちろんシェアできることはシェアする。そういうアクティヴィティ。春らしい東京を出発して、冬山のような場所を歩き、そして初夏のような甲州まで歩く。



・あるいはまた残雪といったレベルではなく完全に雪が降り積もっている山道を歩くということを念頭におくと、今まで見ていた地図や、その行程にかかるであろう時間を計算する、その仕方だって変わってくる。地図上に「平凡な尾根道」と表記してあったところで、そこが雪が固まってアイスバーンになっていたならば、それは「非凡な尾根道(要注意)」ということになってしまうのだった。アイゼンを履いたり脱いだり、ストックの使い方を工夫してみたり、キックステップが激しすぎて雪に埋まってみたりしながら移動する。移動しながら、たとえば「生命の熱をまっすぐに放つように/雪を払いはね上がる枝を見る」というようなポップ・ミュージックのワンフレーズが頭の中で繰り返されたのなら、歩き、移動することによって変化する景色、植物や鉱物の様子とか動物の痕跡、それらをもっとよく見てみようと思って記録する。