&

  映像研究

へんなもの、とあたらしいふつう、について

 
・何かを面白いと思うのは、それが「へんなもの」であるということで、その「へん」は、「本来こういうものはこういうところに落ち着くものなんじゃないの?」というこちらの予想を裏切ってくれることが大切なのだけど、本当に「へんなもの」はむしろ、そもそも「予想」なんてしないくらい、さらっと流して見てるときに、否応なくひっかかってしまう、そういうもののことだと思う。


・何のはなしをしてるかというと、これは今日買った雑誌「Re:S」の最新号のこと。
この号、特集「地方がいい」の最後には「地方がいいの提案」というページがあって、そこには色々な「提案」がなされているけど、その最初の「提案」は、「安倍晋三首相へ」と題されていて、そこには「聞きたいことがたくさんあります。提案したいことがたくさんあります。お会いしたいです。お願いします。」と書いてある。
 
・ふつうに考えて、この「お願い」は相当にシュールだ。
それは、この部分だけを切り取ると、まるで懐かしの「電波少年」みたいだというくらいに。
もしもこれがもう少し具体的な企画であれば、例えば「広告批評」の「憲法特集」のようなものであれば、それは雑誌のカラーと特集のメッセージの拮抗、のようなものとして、それはそれで興味深いものとして理解できるような気がするけど、今回の「Re:S」のこの「安倍晋三首相へ」には、またそれとも違った「へん」さがある。


・「へん」な雑誌「Re:S」は他にも今までに「すいとう」や「ワープロを使うこと」や「物々こうかん」を「提案」していて、その「提案」はメッセージであれども、いわゆる「広告的なもの」ではない。少なくとも最終的に何かを買ってもらおう、という意味での「広告」ではないということ。


・ちなみに例えば今日もう一冊買った別の雑誌は、特集が「ココロが満たされる仕事。いつか飛ぶための準備。」とあって、この雑誌は全然「へん」ではない。ふつうに記事を読んでいるとそれがいつの間にか広告になっていて、気持ちがいいくらい「何かを買いたくなる」「どこかへ行きたくなる」気分にさせられる、そういう全然「へん」ではない、世の中に腐るほどたくさんある、ふつうの雑誌だった。


 
追記:「Re:S」という雑誌は「REENAL」というりそな銀行が母体になったプロジェクトの一環である、ということも、それだからいいとか悪いとかいうことではなく、一応書いておこうと思いました。