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  映像研究

火を焚く

・202011300930。作業をしている部屋は寒い。いよいよ寒さの対策をしないと、積極的な気持ちを意識しないと、机に向かうことが難しくなる。アラジンストーブをつける。火がある空間にいることは良い。マッチに火をつけ、ストーブに点火する。背中に火を感じながら書く。「火」と思う。暖房器具を動かすことと火を焚くことはかなり別のことだけれども、アラジンストーブは少しだけ、火を焚く感じがある。「火を焚きなさい」とは山尾三省の詩だった。

 

・寒さが、思考すること、思考の仕方に影響する。硬くなるのは寒さと乾燥によるのか。身体の動きとともに思考も少しこわばるように感じる。感じる、と書いてみて、書くことで意識される。意識されることでそのこわばりも、少し自分に近しく感じられる。自分のものになる。自分になる。

 

・完璧を目指すことなど無理なことだと理解しながらも、一方で「うまくやること」を最優先することがある。「うまくやること」「うまくやろうとすること」に気をつけよ、と周囲の人たちが自分に忠告してくれているように感じる出来事がいくつか続いた。それは本当にそのようなことを具体的に忠告されたというよりも、自分自身がそのメッセージを探り出したという感じがある。幻覚でも認知の歪みでもないと言おうと/書こうとしてしかし、まったくの歪みのない認知などあり得なかった。自分の認知はある形を持っているだろう。

 

・こうしたことを考えたのは、業務で他者が書いた文章に介入することが日常に多くあるからかもしれない。特にこの季節は「添削」と称して他者が書いた文章に手を入れる。「手を入れる」ことに気をつけよ、と自分が考える。「考えてもいないこと」を「これがあなたの言葉ですよ」「これがあなたの言葉の正しい姿ですよ」と、示すときの力に敏感であれ、と自分が言う。タイムラインに介入することにも、写真の選択に介入することにも、同じように、敏感であれ。同時に時にユーモアも必要。

 

・今日もこれからはじまる。

 

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