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  映像研究

2009年の364番目に沈む太陽と、ラス日の出。00年代最後の備忘録。

 
・29日でどうにかこうにか業務を終えて今年の自分に残されたるは晦日&大晦日の2日間。この2日間で自分のからだに残された体力を使い、自分の心の中にあるアウトドア・アクティヴィズムへの熱い気持ちをどのように昇華すべきか考える。考えた結果、山部メンバーに丸投げした企画に乗って今年最後のテント泊、今年最後から2番目の夕日を拝み、そして今年最後の日の出を見に行くことに決めた。目的地はホームタウン高尾の奥にあらせられまつる「陣馬山」ということにした。天気は良さそうだけれども、寒波が来ているとの情報。軽くて暖かそうな衣料をバック・パックに詰め込んで晦日30日の正午過ぎに出発する。



・バスで陣場高原下に到着してそこから一気に陣馬山頂上まで登る。陣馬山の頂上は馬の彫像が目印。顔のない馬。抽象化された馬。白い馬。陣の馬。それの前で記念写真も早々に(こっそり)テントを張る準備をしつつ再び集合写真。この時点で気温6℃。風も吹いてきてみるみる気温下がる。テントを張ったならば晩御飯の準備をする。今夜のメニューは山部風ポーク・スープ(豚汁)と某小金井のI・Fで分けてもらったカリフラワーとジャガイモのカレー(CJ君どうもありがとう!)。この時点で気温3℃。ipodを駆使した2009年・裏紅白歌合戦がヒート・アップするのは2009年の364番目に沈む夕日を眺めた後、ちょうど午後6時くらいのこと。この時点で気温2℃。



・満月。そして東京中の夜景。しかし風が吹いてきたならば気温以上に寒くて寒くて、どうにも寒いものだからからだを動かすレクリエーションを考案する。アウトドア・アクティヴィズムらしく、映像メディアを駆使した、長時間露光による「2010年年賀メール用の写真の撮影」に挑戦する。4人それぞれが「2」「0」「1」「0」を空中にヘッド・ライトで描く。いわゆる「トーチカごっこ」だが、部長が「電気遊び」だと言い張るのでそのようなネーミングに落ち着く。それにしたって想像以上に盛り上がる30才男性4名は約2時間ほど、ヘッド・ライトで空中に絵を描く。冬の冷たい空気にはきれいな光が描けるような気がするから不思議だ。出来上がりはまたの機会に。この時点で気温は0℃。いい加減眠ろうということになる冬の低山の夜は21時のミッド・ナイト。



・翌日は起きてすぐさま朝食の準備をしつつ、2009年・最後の日の出、いわゆる「ラス日の出」を、山部メンバー4名&初老のハイカー1名&鉄道の代わりにカメラが好きなヤングな男性2名&ヤンキー風味の男性2名で神妙な面持ちで眺める。時折響く携帯カメラ撮影の「ピロリロリン」はヤンキー風味の男性2名がお互いを撮り合っているシグナル。その隙間をぬってイメージ・モンスターをもぐり込ませて撮影するのは、山部ムービー担当の僕です。登ってしまえばあっという間の太陽は暖かく、今日も晴れるはずだと思う大晦日陣馬山から高尾山方面へ出発する。



・歩きながら今年の色々な山行のことなど考えたり考えなかったり。初めての2泊3日の縦走はGWの雲取山金峰山に行った雨の縦走は6月のこと。7月の燕岳で見たパーフェクトな虹や、天候は最悪だったものの程よい達成感を感じた8月の奥穂高……と思い返しつつ、その回想された事柄を口にしたならば、スタジオの絵からその当時のVTRの絵に飛ぶような、まるで年末のテレビ番組のような映像編集的なモードに入っていくのは、今日が大晦日であることが理由なのかもしれません。山菜狩りも行った。キノコだって採りに行った。そのすべての道は今歩いているこの道と全く同じ道であり、同時に全く違う道だと思う。そのようなことを思いながら気持ちよく乾いて晴れていた山道をあるいていたのは、これを記しているついさっきのこと。途中雪だって降った。写真を撮った。



・そうして帰り道はすっかり大晦日気分だったものだから(というのを言い訳にして)高尾山の山頂からはケーブル・カーで下ってきて「文明の利器はやっぱりすごいね〜」と言い合いつつ、ランチに年越し蕎麦を食しつつ解散。その間ちょうど24時間の、今年最後のアウトドア・アクティヴィティは無事に終了する。今年もこうして終わってゆくのだ。00年代の後半に始めた山登りは、自分にとって新しいチャンネルを増やし続け、未だあらゆる可能性を秘めつつ、ひっそりと、時に騒々しいインフォメーションとともに続いてゆくのだろう。どういう風の吹き回しか2010年が楽しみで仕方がない今。新しい年に新しい気持ちである。