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  映像研究

山!

 
・泣こうがわめこうが、今は確かに「秋」なのだと思う。いい加減認めよう。週明けの八王子の朝の最低気温は15℃。それは確かに最低だ。しかしそうなってくると高尾は一体何度なのだろう…?(寒気)



・コミュニティについて考え、貨幣を媒介しない交換を行う水曜日。各種手続きを行い、実家から暖房器具を輸送する水曜日。水曜日が休みである、さして山に興味のない山部員(幽霊)のY君を車に乗せて西へ。Y君は道すがら立ち寄った大型リサイクル・ショップ「お宝工場」にて、3歳になる息子のためにポップなカラーリングのソファを衝動買い。何とかギリギリで実家carのデミ夫に積み込めたものだからソファとともに西へ。ちなみにこのところ自分は秋冬に向けて「土鍋」を探していたのだけれども「それだったらウチに余ってんのあんよ」というY君から帰りに「土鍋」を貰う(配送代として/貨幣を媒介しない交換)。うっかり何かの間違いで伊勢丹で2万くらいの「土鍋」を買わなくて良かったと心から思う。


・そして帰りの車ではひょんなことから極めて個人的(であると同時に/であるからこそ公共的)な「コミュニティ」についての意見交換。僕もY君も「学童保育」というなかなかの面白サーヴィス的な環境の出身で、しかしそれとは関係なく、何故か必要以上に仲良くなった父兄(父母)が、その後20年以上に渡って、ほとんど毎月なんらかのイベント(スキー・テニス・果物狩り・花見・BBQ・温泉・ただの飲み会…etc)を多いときで20人〜規模で開催するという、冷静に考えるとかなり不思議なコミューン(思想性問わず)に属していた(いる)ことを、今だからこそやや冷静に考える。とりあえずの結論として、あのような「コミュニティ」は、偶然出来た極めて例外的なものではあるけれども、それがあることによって、具体的に誰もにとって、大変助かるような状況があるし、それは今後ますますそうなるだろうということだ。そしてそれを成立させるために大切なことは「子供を楽しませること、を子供そっちのけで親が楽しむ」ということで、それは多分、その姿勢こそが、そのようなコミュニケーションを交換することが、きっと生活することにある種の力を与える、のかもしれない。というような少し真面目な、でもとても実践的な話をしていた。



・地下鉄を乗り継いで展覧会をまわり、バックパックを購入する木曜日。竹橋の近美にて『エモーショナル・ドローイング』、恵比寿の都写美にて『液晶絵画』を鑑賞。『エモーショナル・ドローイング』のアマル・ケナウィという人の映像が、エモーショナル、かつフリーダムなかんじでちょっとショックだった。特に実写の部分が不条理だ。そして『液晶絵画』のように、プロジェクター以外の方法で映像を見せる展示を立て続けに見たならば、映像を使ったインスタレーションの空間に対する考え方をアップ・デートしなければ、と少し思う。


現代美術への視点6エモーショナル・ドローイング/東京国立近代美術館
A Perspective on Contemporary Art 6: Emotional Drawing
レイコイケムラ/アマル・ケナウィ/アヴィシュ・ケブレザデ/キム・ジュンウク/ホセ・レガスピ/ナリニ・マラニ奈良美智/ジュリアオ&マニュエル・オカンポ/S. テディ D./坂上チユキ/ピナリー・サンピタック/ミトゥ・セン/アディティ・シン/シュシ・スライマン/辻直之ウゴ・ウントロ/


液晶絵画 STILL/MOTION/東京都写真美術館
Still Motion:Liquid Crystal Painting
ビル・ヴィオラサム・テイラー=ウッド/ブライアン・イーノ森村泰昌/楊福東/ジュリアン・オピー/やなぎみわ千住博/イヴ・サスマン/鷹野隆大/ドミニク・レイマン/ミロスワフ・バウカ/邱黯雄/小島千雪


・道中では神保町の古本ストリートにて『秘境パタゴニア』という本(トライヴァルな気分を盛り上げたかった)と『きのこの手帖』という本(何故か先週あたりからきのこづいている/安全な話題です)を購入、そして最近どうやら片足を踏み込んでしまった感のある、古書における「山岳」のコーナーにて、ひときわキていた『山!』(ハンス・モルゲンターレル著/荒井道太郎訳)というミラクルな本を2000円で購入。それにしてもタイトルの『山!』は凄い。「薮から棒」とはこのようなことを言うのだと思う。表紙や中の挿絵もかっこよく、しかし目次を見てみれば、のっけから「故里の山々」「永遠の山」「四千メートル級の山」「有名な山ー忘れられた山」「謎の山々」「気の毒な山々」と「山」が文字通り、文字の通りに、立ち並んでいるようで、クラクラしてしまう。「寝ても覚めても」とはつまりこのようなことを言うのだと思う。


・あるいはまたその道中では水道橋の「さかいや」にて、とうとうテント泊用の大型(と言ってもかなりコンパクトではあるけれど)バック・パックを購入。オスプレー(OSPREY)か、マムート(MAMMUT)か、はたまたグレゴリー(GREGORY)かと思っていたところに、思わぬセール特価の、アークテリクス(ARC'TERYX)とおっしゃられる方がいらっしゃり、「アークテリクスさん」と言えば、大変失礼だけれども「一見怖そうだけどほんとに喧嘩が強いのかわからない先輩」的な印象があったものだから(高価だけれども機能性はよく知らない舶来品という意味)、優しい店員さんに色々聞いてみたところ、実は自分に求めている条件にとてもぴったりだと言う結論に達し、セール特価とはいえ、清水の舞台からパラグライダーくらいの心持ちで購入。これでもう35Lのバック・パックにぎゅうぎゅうにテントを詰めてポールが曲がる心配をしたりしなくともよいし、喉カラカラなのに水場で水を一杯に汲めないようなこともない。これで装備はすべて揃ったのである。



・その後偶然にも山部不動産担当H君が新宿にいたものだから、合流して「ベルク」にてしばしミーチング(山とも渓谷とも特に関係なし)。色々している間にまた週末がやってくる。「いや〜それにしても涼しくなったよねー」とか何とか言いながら、空模様をうかがっているうちに、あっという間に冬がくることを私は知っている。ituneではボノボの「もうじき冬が来る」がヘヴィー・ローテーションだ。