&

  映像研究

追われの記録

・書いておく夏の記録。この夏は、この夏も、追われている。もうずっと追われているが、周囲を見れば、誰もが何かに追われているから、それはもうそういうものだと、思っている。そして自分の「追われ方」はまだましなほうかもしれないとも思う。より切実に、より余裕なく、より大きな何かから追われている人を多く知っている。追われる事が案外楽しそうな人もいる。追われ慣れている人もいる。追われることの達人のような人。闘牛のようにさっと身を翻す人。荒れた牛には追われたくない。

 

・水曜日。業務的には休日ということになっている。「お休みのところ失礼します」ではじまる丁寧過ぎる連絡に返信をしながら。午前中1.5時間調布の猿田彦で作業。この夏の自由研究を準備する。タイムリミットで移動。

 

・先週に続いて大学へ。授業を聴講する。学部生を対象とした講義を聞くことは新鮮。それは自分の学部生時代がかなり過去という理由もあるが、むしろ当時の自分に講義を聞く姿勢が育っておらずこの上なく不真面目だったことに依る。そんな諸々の記憶がうっすらと過りつつ、だが講義の内容自体と、講義の方法について、ふたつのレイヤーから膨大な情報を受け取りつつ出来る限りのノートを取ることが、今の自分にとっては何より貴重。

 

・その後業務に関する重要連絡を一件。未来の話。

 

・いつでも「この事象が去年に起こっていたら非常な危機だった」と感じる。奇跡的に続いている感覚もある。浮島が沈む直前に別の浮島に飛び移るようにして生きている。同時に、いつでも目の前の諸々に追われながら、しかし少しずつ数年先を考えられるようになった。より正確には、想像ができるようになった。視界がある。朧げであるが視点に対する視野が把握できる。それは昨年度までに論文を書き終えたからそうなのであって、なるほど、そう考えれば確かに進んでいる、と思う。おそらく2030年くらいまでは、このようにして、色々な事象はありつつも、追われながら、生きているのではないか。それでも、いつでも、自分が望む別の生があって良い。これもまた「別の生」とも思って。

 

・帰宅して21:30。論文投稿エントリーのメールをさっと送信して、本日の意味のあるコミュニケーションは店仕舞い。家族と夕食。昨日開栓した(そして派手に噴出した)、Fattoria AL FIOREのmomoを飲む。こんな美味しいワインばかりを飲みたいがそれは贅沢に過ぎる。だからこれは暑気払い。