&

  映像研究

悲喜

・後から書いておくメモ。10:30から20:30までの業務の時間は秒速で消えた。一年間の業務の成果が数字ではかられる日だった。他者の悲喜交々に触れてこちらも相応に心が動く。揶揄でも批判でもなく文字通りの感情労働と思う。他者の言葉と精神に呼応しようと努力して、時には引き寄せられ、時には誘導しようとしながら、いつでも落ち着くべき地点に落ち着く。テレビ番組で漁の映像を見ることがあるが、あの、網を引き上げてみたら「漁れた/漁れなかった」という感じに近いものを毎年覚える。陸の農の仕事が、ある程度見えているものを収穫するのに対して、海の漁の仕事は、別の世界から見えないものを引き出す。それはもちろん知恵と経験と技術が作用しているものだが、同時に「博打」という概念を思わせもする。どれほど準備しようとも、現れた数が絶対的な意味を持つ。不謹慎とも思いつつ、自分の業務にはそうした側面があると考えている。博打の快楽と疲労。そうした興奮状態から家に帰るまでには鎮静が必要。20:30を過ぎ職場の方から声を掛けて貰って珍しい人たちで気をつけながらの飲食。互いを称え合う飲食だけが、この興奮を日常の精神に位置づけることができる。春にめりこんでいく。