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  映像研究

坂の上の家

・春らしいそして初夏のような汗ばむ日。建築家の友人に今住んでいる家の近所にある空き家を紹介してもらう。坂の上に建つ家は普段生活している町を一望できる庭があった。実際にどうにかすることはさておいて、今自分が生活している住宅と別の空間に身を置くことは面白い。間取り、細部、素材、眺め、音、それらを通して、架空の導線、色々な時間の光、そして生活の感じを想像する。建築を仕事にする友人が何をどのように見るのかということも興味深い。

 

・友人と妻と三人でランチ。近くの蕎麦パスタの店へ。近況を交換する。住宅について教えてもらう。貴重な時間は一瞬で消える。

 

・そして午後からは職場へ。マルチなタスクのおかげでテンションの高い状態を保っている。昨日の段階で見通しが立たなかった案件が少し進んだことで自分の内側が緩むのを感じた。圧倒的な力を持っている人間ならばまた違うのであろうが、自分はこの数ヶ月他者とどうすれば良い協働ができるのかとそればかりを考えていた。昨日の夜に職場で話をしていて、それを世の中では「マネージメント」と呼ぶことを知る。本屋にそういった類の本が並べられている理由が確かにわかるように思った。

 

・公正なチームはあり得るのか。そのチームがそのチームとして動くことで、おのおのの力が引き出されることとともに、それを見る他者にとって良いメッセージとなるような、そんなチームはあり得るのか。昨日と今日見ていた、ある大学の学科の学生と教員が登壇するシンポジウムで、ある方が「学科の教員がすべて男性であることはメッセージとして捉えられる」と話されていて、そのことも強く印象に残っている。

 

・人が移動する季節に組織と呼ばれる場に身を置いていると考えることがある。走り出して、動き出して、回り出してしまったならば、その幾つかのことは忘れてしまう。だから記録しておく。