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  映像研究

春の原宿

・昨日の業務にまつわる11時間ミーティングを経て今日は基本的に自分のための時間。午前は身体を休めつつ荷物の再配達を待つ。手元に置いておきたかった『フランス語統辞論』をオークションで適正価格で購入できたのが良かった。ほかに大学から休学許可の書類が届く。昼過ぎに外出して原宿のギャラリーで元学生の大学生の展示を観る。写真、動画、音響、オブジェ、絵画などが混在する空間の構成から、自分の考えるメディアの枠組みが相対化されるような新鮮な印象を受ける。昨日のミーティングで確認したことの一つは、自分の「映像」についての考えをアップデートすべきという当たり前のことだった。そのためには見ることと読むことに加えて、制作する人から(おそらくは自分が想像していることとは異なった)制作のプロセスについて話を聞くことが有効だろうと思う。

 

・原宿。久しぶりに裏原宿(と今でも言うのかすらわからない)を歩く。かつてならば「古着屋」「(裏原宿とカテゴライズされるような)ドメスティックなアパレルショップ」「雑貨屋」というラインナップだったのが、今ではまずもって「ブランド古着屋」が目につき、さらに「ブランド古着屋」と「(裏原宿とカテゴライズされるような)ドメスティックなアパレルショップ」の見分けがつかない。あるいはベルベルジン的な古着屋と西海岸的な古着屋の差異も消滅してしまったように思える。しかし90年代の衣料品もヴィンテージとして見ることができるようになるほどに環境が進展したならば、それらの区分もそもそも意味がないかも知れなかった。90年代特に前半の、例えば、アニエスベーアーペーセーカルバンクラインダナキャランニューヨークなど面白い。しかしこれほどまでに古着屋に複数の方向からラルフ・ローレンが入り込んでくると「世界の中心にはラルフ・ローレンが存在しているのではないか」と思う。10年くらい前に、世界中の倉庫という倉庫に積まれた服に縫い付けられた馬たちが、日本の高円寺という辺境に向けて、ぱからっぱからっと走り集まってくるイメージが浮かんだ。そして今ふと顔を上げれば表参道のラルフ・ローレンのショップがそびえ立つ。あのショップのテーマパークとしてのテンションに(辛うじて)匹敵するのはジャイルのヴィズヴィムだけだと思う。などと考えながらしかし、サンタモニカとシカゴを覗くだけして帰る。

 

新宿三丁目で途中下車して中古カメラ店でカメラの修理の相談。メーカーでも断られてしまった微妙な調整を引き受けていただけた。感謝。19:00帰宅。