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  映像研究

熊本初上陸の旅・3日目

 
・熊本初上陸の旅・3日目の備忘録。前日(正確にはだから前日ではない)28時まで話をしていたのだから、誰も誰か、普通に寝坊。すっかり晴れ上がった空のもと11時に起床。慌てて起床。慌てて布団をたたみ、慌ててながらも優雅なブランチ。荷物をまとめて出かける。そしてT邸の前でまるでいつものように集合写真を撮影した。



熊本市内を散策する最終日。車で市内に到着したならばもう既に15時を回っていたのだから、本当はもう少し熊本のタウンをウォーキングしたかったのだけれども、それはまた別の機会の楽しみに取っておくことにする。車を停めた近くの川沿いに有る「夏目漱石の旧家」や「ZERO CENTER」という場所を外から見学したりしつつ熊本城へ向かいお城の中の公園でパート・タイムなお花見。春のような気候で、すっかり咲いた桜を見ながらビスケットとか食べる。T家で作っている「玄米から作った甘酒」を飲んだりもする。新しい食べ物を知ることは楽しい。そして新しい食べ物を自分で作ってみたりすることももちろん楽しい。作り方を教えてもらう。



・旅行の終わりにはお土産を購入する。天草の塩とか、水俣のお茶とか、馬刺の薫製とか、そういうものを買う。焼酎も買った。それを東京の誰かに渡しながら熊本の話をするだろう。それもまた面白い。ところで自分は「ゆるキャラ」の『くまモン』に夢中だった。そんなものに夢中になるはずがないと思いながらも、街の中でそのキャラクターを発見すると思わずじっと見つめてしまうのはどういうことだろう。「ゆるキャラグランプリ2011」だということもウィキペディアで知った。あるいはゆるキャラは現代の妖怪であるというような同行した友達の解釈にいちいち納得する。熊本という場所を特別な場所として好きになったということかもしれない。くまモンのトランプを買いそびれたことを少し悔やんだ。



・あっという間に時間は流れて熊本空港に到着したのは19時。ややあって20時の便で羽田空港に向かって飛び立つ。飛び立った飛行機の窓から熊本の夜景を見る。都市部があって都市部ではない場所がある。明かりが沢山灯った場所があって明かりがほとんど灯っていない場所がある。帰りの飛行機ではせっかく鞄に入れたのに読まないのは勿体ないと思って、平川克美という人の『移行期的混乱―経済成長神話の終わり』という本を読んでみていた。読みながら「2012年の今はどういう時なのだろう?」と考えたりもする。そしてその「今という時」に何か固有の特徴のようなものがあるとして(きっと何かはあるのだと思う/それが大きな時間の中で繰り返されるような種類のものであっても)、その特徴と、今自分がこうして熊本に往復15600円のお金を支払って(クレジットカードで決済をして)旅行に行ったりすることや、その帰りの飛行機で窓の外にほとんど明かりが灯っていない場所を見ながら、昨日まで自分がいた、去年まで近くに住んでいた友達がいる場所を思い出しながら考える事柄との間には、一体どういう関係があるのだろう。



・そしてあっという間に1時間20分が経ったならば、明かりのない場所なんてないような見渡す限りの関東平野に降り立つ。その平野と「今という時」にある固有の特徴とは、どういう関係があるのか、考える。