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  映像研究

198X年の聖地なるもの。とか色々。

 
・9月27日は雨の月曜日。図書館に出かけたい気持ちをぐっと抑え(っていう、それほどでもない)、あるいネットのリンクをあてどもなく辿りたくなるのを我慢して(という、これはほんとう)、読書の舟を進めよう。『芸術人類学』『カイエ・ソバージュ』からの中沢新一という人・強化週間は押し入れから引っ張り出された『移動する聖地』へ向かい、多摩美術大学podcast細野晴臣という人との対談「これからはじまる音楽のために」も再聴。更に本棚の奥から、その細野晴臣という人との共著『観光』も発見されて、それも一気に読む。オカルト的なもの、ハイテク・ヒッピー的なもの、バナキュラーなものへの興味が一緒になったような、よくわからない本。いま読み返す意味があるかどうかは分からないけれども、ある時代の「パワースポット本」として興味深くもある。同じように「ぶらり聖地」ならば『ランドネ』よりは『GS』の方がまだ良しと思えるかどうかという思考のための材料。



・夕方から渋谷へ向かう。雨の渋谷は遠いのだった。道玄坂の坂の上の映画館『ユーロ・スペース』にて、「ドキュメンタリー・ドリーム・ショー-山形in東京2010」のプログラム、アピチャッポン・ウィーラセタクン初期映画なるものを観に行く。ギリギリに入場したところ結構な混み具合だったので、やっぱりカンヌ映画祭の影響は大きいのだろうかと、全く映画に詳しくないなりにそんなことを考えつつ観賞(立ち見)。日本語字幕が読みづらかったため英語字幕を理解することに6割の集中力をさき、残りの4割で内容を追うことに必死。実に過酷な映画体験だったけれども、それはそれでなかなかに面白かったといえるのではないでしょうか。変な映像を見た、と言いたい。雨のなかを帰宅。引き続き『観光』を読み、読了。読まなくてはいけない本が山積みな秋。



・さして衣料品を購入しなくなった2010年の秋。しかしそれでもファッションの秋。気温が下がり、湿度が下がり、空気のかんじが変わる。そして太陽の角度が変われば光が変わり、風景が変わる。つまり全部変わるってことだ。その変わった風景の中を歩いていこうとしているのだから、衣服だって変わってみたって良いのではないかという正当化。ロジック。着たい衣服のイメージだけははっきりとあるのだけれども、それを名指す言葉が不明瞭なのだった。なんかこう、だらっとした、裾が翻るようなもの。それは「ガウン」かもしれないが、レスラーが着用しているようなあれではない。あるいは「ロングシャツ」「ロングカーディガン」というカテゴリーもあるようなのだけれども、どうにもナイーヴでアーヴァンなイメージは、思い描いているそれとは微妙に違う。そんなときは多分CHICAGOだ。CHICAGOに行って、よくわからない衣料品を手に取っているときほど落ち着く時間もないのではないかとふと思う。そしてそんなときは秋雨前線すら、季節の趣として受け入れられるような気が、しないでもない。