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  映像研究

本当の時間

 
・2008年11月の24日-25日は待ちに待った「アーヴァン・キャンプ・フェスティヴァル vol.3」。正しい休日の過ごし方、兼(元)職場の慰安旅行、兼、現代的なアクティヴィティ、兼、その他。いずれにしたってこのような、年を重ねるごとに、年齢も職業も環境もバラバラで何の集まりだか分からなくなる「チーム・ほにゃらら」が3年にも渡って(あるいは準備期間を含めれば4〜5年にも渡って)、ある同じ場所の同じ時間を共有できる機会をつくれるということを不思議に、そして好ましいものとして感じる。そしてその好ましさは、何の根拠にもならない代わりに、誰にプレゼンテーションする必要もない種類の大切さだ。


・そしてコンセプトとしての「アーヴァン・キャンプ」も年々ピントが定まってきた様子。当初はとりあえず金かけりゃいいじゃん的な、伊勢丹で食材買えばそれでいいじゃん的な、ビールはエビスオンリー的な、いわゆるひとつの(造語ですけれども)「バブル・キャンプ」との違いを今ひとつ見いだせなかったものの、実のところ大切なのは「伊勢丹」でも「エビスビール」でもなくてもう少しマインドにあったということ。あえて一言で言うならば「都市(アーヴァン)における理想の生活を別の仮設的な空間(キャンプ)において実験する」ということでしょうか。だからそこでは「食べたいものを食べ」「眠りたいときに眠り」「火を焚きたければ焚く」。そして「ある状況をより面白くするためにアイディアを出し合う」ということ。



・24日(月・祝)は天気予報「曇り・後・豪雨」で非常にその通りな空模様。西東京国立駅に集合したならば2台の車に民主的に乗り分けて発進。車中では主にT&K縛りのカーステ・CDJで「著作権の未来」についての意見交換をしつつ、ロケーションであるところの山梨県の某湖畔に向けて出発。道中には、いつだって僕らの「U・C(アーヴァン・キャンプ)」を支えてくれる「道の駅」にて各種生鮮食材を購入。あるいはスーパー・マーケットもピンポイントで利用して各種ペースト系食材などを購入。そのような時間もすべてはアイディアの宝庫だ。


・そして午後3時にキャンプ・サイトに到着したならば、おのおのがおのおののやりたいことをする。ある者は火をおこし、ある者はひとまずお茶を入れて皆に振る舞う。その横では「サッカーボールのように蹴り合うことでアイス・クリームが出来上がる」という「滝でサラダを作る現代美術的な映像作品」もビックリな、王様のアイディア的なグッズを紐解き、汗だくでサッカー。またある者は「アーヴァンっぽい」衣装にチェンジしており、別の者はその状況を映像メディアに記録するだろう。この時気温は恐らくは2℃程度。全員とりあえずなにかの布的な物にくるまっている様子は「哲郎だらけの999」みたいな夕暮れ(マジック・アワー/でも豪雨)だ。ほどなくして乾杯。雨音(完全に豪雨)がバック・グラウンド・ミュージックをかき消すのだから、諦めてipodは仕舞ってしまう。夜が更けても色々な物を食べる。色々なメニューが即興的に生まれる。火は燃え続ける。









・そして朝がやってくる25日(火・平日)は、朝焼けオフィスレディースをお見送りして、明るくなったと同時に奇跡的な晴天。真っ青な空のもと、バンガローから起き上がった僕ら6人の目の前にあるはずの、昨晩の残りの食べ物はあらかた「空を飛ぶ生き物」に食べられてしまっており、しかもそれが「比較的高級な食材」「朝食にぴったりな食材」から順に食べられていたものだから、しばし呆然とする。しかし「まぁ、そこに置いといたんだから、しょうがないやね」的な、人類を特権化しない思考回路にて気持ちを切り替えたならば、これが本当の「王様のブランチ?…いやいや、むしろ、素晴らしい平民のためのブランチ」を、ということで遊びつつ準備。


・そしてそれらを湖畔に移動して食べる。小麦粉をこねて焼いただけのパンを、レモンに蜂蜜をかけたものを、余り物をアレンジメントしたパスタを、爆笑するほど黄金色に焼けた芋を、ただの美味しいリンゴを、どこか敬虔な気持ち(半分嘘/でも半分本当)で食べる。湖、光りすぎ。










・そして最後に毎年恒例の集合写真/記念撮影。オン・ラインで共有しづらいテンションの劇団風・記録写真。湖畔にて。