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  映像研究

ゆっくりと思い出す。

 
・3月も気がつけばほとんど半分が過ぎ去り、全く意味の分からない時間の中で、そういえば、春。思い起こせば、春。三寒四温のグルーヴに飲み込まれ、花粉に翻弄されながらも春がやってくる。


・備忘録の醍醐味であるところの固有名詞の並ぶかんじや、日記のダイナミズムであるところの生活の細部の記録も抜け落ちて、その結果、時間の感覚のない心情(主に反省)と、ほとんど意味のないスローガンばかりになってしまうような、そんな面白くもない文章を綴ることに気をつけようと、私は思います!というのは、それは完全に現在の自分のことであって、そんな過ぎ去っていく時間の中からも考えるべきことはあるはずなのだった、なのだったからこそ、思い出し、言葉を探しながら、もう一度考えるべきことを考え直したいと思ったりする。


・一枚の写真をぼやっと、あるいはすっかり覚めた状態で眺めたりするようなことをしたい。言葉にする必要のないこと。例えばこのような写真。この期間新幹線に乗ることが何度かあり、そのたびに列車の窓の外に向けてシャッターを切る。目ではそれと認識していなかったもの、あるいは人。見ても、見られてもいなかった、そんな意識すらなかった人。そのような人の、このような写真。