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  映像研究

・枯れた草と乾いた土。その質感を目で見ることから、この季節らしさを感じ取る朝。日中の日差しは眩しく洗った布に風が通り抜ける。一旦停止する正月の時間に向けて、空気にも静けさを感じる。その最中で餅がつかれる。餅をつくのは機械で、それを操作するのは妻の実家の方々で、自分は挨拶だけして業務へ。帰宅して夕食は餅。食物の密度の極端な形としての餅。密着から粘度への変容には確かに祝祭との親和性がある。あらゆる人間の事情を瑣末な事柄と感じる。からこそ、生きていることそれ自体を讃えあいたいような気持ちも湧いてくる。いつもの年より少し早く餅を食べて、心は既に特別な時間の中に入りつつある。