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  映像研究

内外の熱

・メモした言葉を帰宅する京王線で推敲する。12月16日の東京の最高気温は20℃です、と聞いてもさほど驚かない世界にいた。春の感じが蘇る気候のなか自転車で駅まで行く。街路樹の蕾に焦点が合う。間違えないでくださいね今ではないですよと念を送りながらその下をくぐり抜ける。

 

・このような以前とは異なる世界では未知のウィルスが蔓延し風邪の意味も変わる。そうした意味で、風邪症状のただなかにいる自分の身体は、この世界の最前線にあるのだとあらためて思う。体内の熱も外界の気温の上昇も混ざり合う。内側は内側の都合で生きているが、内外が完全に切り離されているはずもない。むしろ貫かれている。

 

・風邪が続く。風邪の記録も続けてみる。具体的な症状を書くことは憚られるけれども、その生活の感じを残しておきたい。

 

・風邪の予感から一週間になる。業務を休めていないのだから治るはずがないと言えばそうなのだけれども、それにしても実に強力な風邪だと思う。その強力な風邪のフルコースを経験している。周囲の人たちから「お大事にしてください」との言葉を受け取り、確かにそれは今の自分のような者に対して投げてしっくりくる言葉だろう。