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  映像研究

話す者

・202103052037。帰宅する京王線で書いても良い。この時間のこの姿勢やこの疲労は久しぶりだった。一週間ぶりくらいに電車に乗る。一週間ぶりくらいに業務。それが許されることに感謝。気づけばすっかり春だった。夕方から雨。温い雨。スプリング・レイン。と聞くとシャングリラのことを思い出す。あのイントロを。毎年。

 

・職場で久しぶりに家族以外の人に会ったならば、楽しくて話しすぎてしまう。話すことを忘れていたようでもある。職場に着く前には「久しぶりで話せなかったらどうしよう」と思っていたが、実際には恐る恐る話している。気づけば止めどなく話している。自分の表現が伝わることは嬉しい。文章を書くことでは得られない感覚だと思うが、もしかすると文章を書くことの中にも、そのように、伝わることを確信するような瞬間があるのだろうか。あるような気もする。

 

・一ヶ月半くらい前に友人から貰った手紙にずっと返事を書けなくて、ようやく送ったのは一週間ほど前だろうか。その手紙にメールで返信が来て、自分が手紙に何を書いたのか覚えてはいないけれども(そこがメールと手紙の違い)、そのメールの感じから、手紙と添えた品がちゃんと届いていたことを感じる。ちゃんと届くとは、物が郵送されるのみならず、郵送された言葉と品が、相手の内に入り込み、他者を振動させるようなこと。震えて貰えて良かった。

 

・締め切りがある作業をしていて楽しいのは、締め切りが終わった後、何をしようかなと考えられることで、それはその作業が苦痛なのではなく、締め切りまで駆け抜ける、その「抜ける」感じを心地よく思うから。ともあれ、明日からまた、苦痛も含めた作業に戻る。もう少しだけ粘りたい。