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  映像研究

「すべては初めて起こる」

 
・インターネットを散策していると、いろいろな種類の言葉があり、その多くは読むでもなく見るだけで通り過ぎてしまうけれども、残る言葉もある。「すべては初めて起こる」と端的に書かれた一文のような文字を読んでみて、それは大森克己という人の写真集の題名だった。大森克己という人が撮影した寺尾紗穂の『たよりないもののために』という曲の映像も見てみた。ずっと写真と痕跡のことで何事かを思いながらぼんやり考えを膨らませてみて、それはそれである地点までは継続していくけれども、一方で「すべては初めて起こる」あるいは「たよりないものために」というような言葉が斜め横から刺さるように飛び込んできたならば、また少し別のことを考えることができた。