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  映像研究

五月のフラグメント&

 
・慌ただしくも大切な/興味深い/面白い、出会いやメッセージをたくさん巻き込んで進んでいく五月の4週目のフラグメント。人と会いすぎてやや日射病みたいにフラフラになるのもまた面白い。そして自分にとって、これは大切なことを考えたなぁ、とか、面白いことになりそうだなぁ、というときほど、備忘録される言葉の抽象度が高くなってしまうのは、それは仕方のないことだ、ということにしておこうと思う今日この頃。



・ある日。としての水曜日には、先月某小金井で開催された(自分は古本担当として参加した)マーケットのMTGに参加する。主催者のみんなの話を聞きつつ、自分も、本を読むことについて、本という物について、そして本を売ることについて、このようなことを考えているかもしれません、というような話をぽつぽつとしてみる。言葉で説明することはいつだってとても難しい。あるいは「コンセプト」という言葉に警戒心が強かったここ数年(なんでもかんでも「コンセプト」という言葉で説明しようとするのは(元)美大生の悪しき習性なのだ)を経て、それでも「ただ面白くてやっている」ことを、どうしたら「もっと面白くなるだろう」と考えることを、少しだけサボタージュしていた自分にとっては、とても良い機会だった。


・夕方は新宿にて山部部長とMTG(あえて書くまでもないけどこの場合の「MTG」は「ダベる」くらいのなにかです)する。山とTシャツと私と雑誌、についてのMTG気分を盛り上げるべく新宿はTOPSの上の喫茶店(ユイット?だっけかな?)で待ち合わせる。高級ジンジャーエールを飲みつつ、夏の活動草案とメディアをアクティヴにする方法について話す夕べ。


・その後は水道橋の(2009年の今最もお洒落な)食堂にて某カレー店店主と再び合流して、店主のバースデー・前夜祭。面白くてお洒落な40代や50代の諸先輩方に「30歳ってそれ全然若いっていうかなんだそれ」的なこと言われる。濃厚な一日の終り。また偶然にもこの食堂の片隅にも最近古本屋が併設されたとのことで、偶然にもその古本屋さんの方がいたので少し話をさせてもらいつつ、偶然にも読みたかった山尾三省の本だって購入する。濃厚な夜。そして終電ギリギリには食堂がうたごえ喫茶と化す、ギターとマンドリンの謎の時間が訪れる。濃厚な終電。



・ある日。としての木曜日には、渋谷の事務所時代以来の、久しぶりに渋谷〜恵比寿〜中目黒のお洒落トライアングルを散歩&散策。恵比寿では「マルタン・マルジェラ」という洋服屋さんと「リム・アート」という古本屋さんを見る。とりあえず緊張感。とりあえずすべてが白い。ホワイト・キューブ以上。そして「贅沢品」とはこういうもののこと(金色よりは白色)をこそ言うのだなぁと妙な感慨を持って(逆に)テンションが上がる。その後は中目黒で「買うブックス」と「ほにゃほにゃリサーチ」もリサーチ。特に何も買わず(買えず)。行きたかった洋書屋さんには行けず。


・夜は某小金井の新進気鋭カレー店へ。閉店間際から始まる店主のバースデー・フェス風集い。美味しいワインと何故か紹興酒も飲む。カレーも食べる。本をプレゼント。そしてやっぱり今夜も歌う。ディ・ドリーム・ビリーヴァー。最近KJ君と会うと、歌うか、歌について話すか、KA・RA・O・KEのスケジューリングの話しかしない。自営業の人にとっては「夜のBOX・フェスティヴァル」はなかなか敷居が高いのですね。


・それにしたって今まわりのすべて人が「KA・RA・O・KE」に向かっているようにも思う、と言えばそれは言い過ぎでしょうか。KA・RA・O・KE、あるいはオリジナリティを追求する、パフォーマンス・アートとしての「カバー」、あるいは「ゴミのようなJ-POPを触媒として『大衆(ポップス)』の神様を降臨させるアーヴァン・シャーマニズム」的な(!!!!!!!!!!!!の人みたいになってしまった)行為としての「KA・RA・O・KE」。誰もCDなんて買わなくなって、しかし誰もが誰か「KA・RA・O・KE・BOX」やあらゆる場所で歌を歌う世界、ポップスを叫び、人が集まれば合唱曲や、そして労働歌(知りませんが)が響く世界、それは子どもの頃夢に見たアナーキーで面白かっこいい音楽世界、かもしれない。



・ある日。としての金曜日には、朝から頑張って家を出て竹橋は国立近代美術館で開催されている『ヴィデオを待ちながら』展へ。待った甲斐があった。いろいろ面白い作品はあったけれど、アンディ・ウォーホールのフィルムの上映作品が興味深し。『植物にアルファベットを教える』ってなんだそれ(いい意味で)。映像になったときに引き出される感覚は様々にあれど、自分はその中の「ユーモア」に注目して観たように思う。山部メンバーWちゃんが最近になって初めて「ごっつ」の映像をyoutubeで見て「板尾さんて面白いね」と言っていたことなどを思い出す。面白いってなんだろう。面白いと思えばすべてが面白い。


・その後は夕方からの業務までのエア・ポケット的な時間に神保町へ移動して、せっかくなのでうどんの名店「丸香」へ。物凄い行列なんだけど…と思って一瞬やめようかと思ったけど、せっかくなので(せっかく至上主義)炎天下で読書しつつしばし待って「月見山大&野菜天」。最高。最強。喫茶店でコーヒーを飲みつつ読書、のつもりが来週の予定に微妙に微妙な変更があり、全然使ってなかった手帳に予定を書き込んだりしているうちにすっかり良い時間。業務へ行く。引き延ばされた自由な時間、フラグメントの中断。


・週末の夜は終わらない。業務後に編集長ことHさんが下北沢にいるとの連絡をもらって、来週の連絡もかねて向かう。下北沢の古本屋でもあるオルタナティブ・スペース(何も言っていない説明だ)では、どういう流れが覚えていないものの、異常に熱い「テント・トーク」に花が咲く。まさかここで「エア・ライズとトレック・ライズの違い」とか「MOSSテント」とかについて話すとは思っていなかった。それからどういう流れが覚えていないものの、異常に興味深い高尾についての話も聞く。夜が更けたならば解散。フラグメント・to・フラグメント。時間よりも濃密な日々。