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  映像研究

話すことは書くこと

・202111292317。風呂場に本を数冊とスマートフォンを持ち込み、半身浴しながら論文の作業している。月末までに、何とか、今の作業を一度終わらせたい、と考えていると、このようなエクストリームな方法になった。少し前に同僚に教えて貰ったUDトークというアプリを開き、思いついたことを話す。言葉は、多少のミスもありつつ(しかしそれは誰の、何の?ミスなのかわからない)、快調にテキスト化される。だからこれは論文の作業をしていると言える。

 

・昼にヤマト運輸に集荷の連絡をしたときに、ショートメールもしくは通話で対応しますと案内が流れて、「そうなのか、通話の方が安心だな」と考えて通話を選択したが、通話の相手?は「AIです」と言う。AIにむかって、「11月30日、午前中、です、はい、いいえ」などと言えば、復唱??されて、しかし確かに受け付けられているようだ。話すことはテキストを打つことに変換されていた。全然別の事柄ではあるけれども。

 

・そうしてしかし、あらためて自分の「書くこと」は、やはり、既に書いた文章を頭から読むこと、つまり読み返すことを抜きにできない。頭から読み、文章が前にのめり込もうとする感じを脳に染み込ませて、自分の書き進める動機を自分自身が思い出しながら、まだ拓けていないページに、次の言葉を放る。そのようにしてしか書けない。何度も読み、飽きるほど読み、色々なことに気づく。それは面白くもある。とはいえ限界は来る。

 

・という、この日記は全て話すことで書いていない。スマートフォンをつるつるしていると言葉になった。

これは冬、これが冬。

・後から書いておく記録。久しぶりに日曜日の業務が丸一日。7:30に家を出て職場の最寄り駅のエクセルシオールで30分だけ自分の作業。9:00から18:30までが一瞬で燃え尽きる。日々が修行。繰り返すことの中の差異だけが自分の「ある態勢」を形成する。作っている、という自覚もなく作られるもの。

 

・職場を出て少し作業をしたいと思い調布で途中下車して猿田彦を覗くも密度が高く断念。豆を買い、PARCOの書店で課題に使えそうな新書を見るついでに雑誌をぱらっとするなどして、のち帰宅。

 

・そういえば今日は写真を一枚も撮らなかった、同僚に送るタイムカードの記録以外には。機能としての写真を撮ることとは別に、この日記に貼り付ける写真は、自分自身が見たことの記録である。あるいは「もう少しだけ時間の余裕があったならば、この場所で、この方向に向けて、この光景を眺めていたいのに、もう行かなければ」という気持ちが一枚の写真を撮らせることもある。凝視の代理の写真。

 

・身につける物が、冬が来てしまったことを否定するあらゆる言葉や考えを退ける。フリースや、ダウンや、羊毛に包まれながら、移動したり、作業したり、眠ったりしている。

冬と年末

・202111262113。帰宅する京王線で呆然としつつ書いても良い。9:00から規則正しく作業。昼食はなぜか数日のあいだ頭をかけめぐっていたカップ焼きそばUFO。記憶の通りの味だった。一休みして作業を継続。15:30にタイムアップ。自転車で駅へ急ぐ。

 

・川沿いの道を自転車で通ると季節ごとに、また時間によって全然違う感じがある。この季節の夕方は夜の気配と冬の予感が混ざり合って、全てが闇の方へ向かっていくように感じる。植物も皆一度死んだようになるのか。炎のような光が死にそうな植物に差す。さっきまで平らなノートPCに概念の言語を打ち込む作業をひたすらにしていたから、現実の空間の奥行きに見惚れてしまう。

 

京王線で仮眠。16:30に職場に着いたならば、一瞬で21:00までが消える。年末進行。職場のあらゆる人の表情(マスクをしているから主に目)に年末の感じが滲む。今日は、現在が、冬であり年末であることを認めざるを得ない日となった。このようにして2021年は閉じるのだと確かに感じる。

 

・電車の中でタオルを手にした人を見かけ、そのタオルの柄にはっとして、それは実家のバスタオルの柄だった。パリパリに乾いたバスタオルの触り心地。

 

・もう少しだけ作業の密度を上げるためにはどうしたら良いか。色々な事柄が並行しながらも、どうにかくぐり抜けてきた、2013年から2014年にかけての冬の記憶を、いまこの意識に呼び戻してみようか。あるいはその時の自分の集中した意識に対して何かを返答するべきか。その返答を別の問いかけとして、また未来の時間に投げるか。

 

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包まれる

・202111252150。帰宅する京王線二駅分でさらっと書いても良い。寒いのではないかと考えて裏地がフリースになっているズボン(と言いたい)そして上着にノースフェイスのプリマロフトのコートを来て家を出る。自転車で駅まで急ぎ早速暑い。一日中、何かに、たとえば毛布に、包(つつ)まれているような、包(くる)まれた状態で移動しているような気持ちで過ごす。新宿、池袋、そして再び新宿からの業務へ。12月が見えてくる。

 

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