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  映像研究

2009春・ソウルの旅・前半

 
・ことの始まりは3月の頭。日頃から何かとお世話になっております編集長ことH野さんに「どう?行く?」と誘われて「い、行きます!」と思わず即答してしまったことから始まった「ソウル・ツアー2009春」。行きますは良いとしても、パスポートなんて完全に持っていない、ドメスティックにアラサーな日本の私。そんなだから全くもって何をどう準備したら/リサーチしたら良いのかもわからない日本の私。とりあえず近所の図書館にて借りた「地球の歩き方・ソウル版」をパラパラしつつ、旅慣れた友人である山部インターナショナル担当Hくんからは、バックパッカー的リアル・ソウルの歩き方をオンラインでレクチャーしてもらう。このような各種イメージ・トレーニングにも関わらず、全く旅の具体的なことは想像できない2009年の春。



・出発は18日(水)。この時期は連休前でもあるのだし航空券すらなかなか取れないものだから、羽田でも成田でもなく名古屋からの離発着となり、よってこの夜に夜行バスにて東京から名古屋へ移動するのでした。その水曜日は昼間から出勤して、本来ならばこの旅行の期間にやるべきだった業務をやっつける。やっつけられなかった業務はチーム同僚に一任。途中抜け出して「電圧変換用プラグ」と、ソウルでお世話になる先へのお土産として大量の「鳩サブレー」を購入。ハト派の外交を具現化すべく購入してみたものの、バックパックの上半分が「鳩サブレー」で埋まる様子はやや不穏な旅の始まり。その後奇跡的なグッド・タイミングで上司に餞別的ビアーをごちそうになったりしてるうちにあっという間にバスの時刻。東京駅に集合した編集長とライターのSさんとともに3人、一路深夜の中央道を西に向かったのでした。



・旅立ちは19日(木)。早朝の名古屋駅にバス到着。すぐさま中部国際空港へ(やや急ぎめで)移動。移動したならば中部国際空港セントレア)のゆるキャラにやんわりとダメ出しなどしつつ、手早く出国の準備。ちなみにこの間の記憶ほとんど無し。間もなく離陸。年を取るごとに飛行機の離陸と昆虫を触ることが得意ではなくなる自分ではあるのだけれども、それでもせっかくなので機内では「快適な空の旅」を楽しむ。しかしその途中にSさんが羽織っていたコートを空港に忘れた事件が発覚(帰国後発見/良かった)したりもして、やや不穏なテンションのまま霧の中のソウルに到着したのは午後1時。到着したならばまずはやっぱり「日本円」を「ウォン」に変える作業。「2万円」が「27万ウォン」にメタモルフォーゼして、財布パンパンならば一瞬だけお金持ちになった気がした。それにしたって空港からソウル市内へのバスのチケット購入さえままならない慌てぶりで、とにもかくにもソウル市内へと向かったのでした。


・ソウル駅周辺に到着したならば、今回の旅の一番の目的である「スユ+ノモ」という研究機関が入っているビル(というか学校の校舎)に向かう。「スユ+ノモ」は日本でも色々な場所で紹介されているみたいだけれども、研究者や学生、あるいは「高学歴ワーキングプア」的な、(有象無象の)様々な人がお金を出し合って運営している研究機関であり「研究空間」だというように言われている。言われている、とか言いつつも正直自分も今回の旅行までは、名前と存在を何となく知っていただけで、どういう場所なのかについては直前に慌てて調べたのでした。実際に行ってみると、学校のワンフロアを使った広々とした空間には講義室だけでなく、映像編集室や卓球場やヨガ室、そして食堂やカフェだってある。あるいはまたゲストハウス(別館)だってあって、私たち3人もそこに(格安で)お世話になっていたのでした。「スユ+ノモ」の中を詳しく案内していただくのは明日お願いすることになり、とりあえず編集長の迅速なナビゲーションでソウル観光に向かう。地下鉄の駅にてオロオロしながら「Tマネー」(韓国のsuica的なもの)を購入。降り立った夕暮れの「インサドン」という街が初めてのソウルの繁華街の印象。その後研究室の方々と合流して居酒屋で夕食を食べる。全部うまい、そして大抵辛い。二次会&三次会で気がつくと午前3時になっていました。ソウルの夜は東京よりも全然長い。



・長い長い20日(金)。前日の宴を引きづりつつ昼前には準備をして、午後一杯をかけて「スユ+ノモ」の中を案内してもらう。「スユ+ノモ」が紹介されるときに必ず言われる「研究のための空間というだけでなくて、生活のための空間でもある」ということ、そしてそのことが「生(活)の実験である」というようなことがだんだん理解できてきた。例えば、おしゃれなカフェとかちゃんとした機材のある映像編集室の設備も気になったけれども、それよりも何よりも「食堂」があってそこでメンバーが食事をすること。そして研究空間の理念にも関わってくる「贈り物」という考え方、家具や食料などは様々なところから贈られてきたものであること、そしてそれはひとつずつ「お話」を持っているという紹介にはとても感じ入ることろがあった。そしてまた「シェアーする」ということのシンプルなあり方についても考えさせられる。物の私有を共有物にする、ということだけでなく、様々な当番も全員で分担するとか、カフェはあるけどコーヒーは自分で入れる(当然カップも洗う)とか、そういう時間や空間の使い方・捉え方は何というかラディカルで新鮮だ。ちなみに食べ物も飲み物も普通に美味しいところも素晴らしい。空間や言葉をxactiで記録。


・夕方からはその興奮も覚めやらぬままに、ソウル・ナイトクルージング・第二夜として「イテウォン」という街へ向かう。いわゆるひとつの「外国人が集まる無国籍タウン(地球の歩き方より)」だそうで、確かにそのようなフライデー・ナイトも合間ったケバケバした街の様子に圧倒されっぱなし。目に飛び込んでくるスポーツ・ブランドのブティック(?)が多すぎて「一体誰がこんなにスニーカーを買うのだ」と思ったけれども、ついちょっと前までの自分がまるでそれだったことを思い出す。ナイキ・アディダスリーボックニューバランス。一生かかっても履き潰せないほどのスニーカーが(感覚としては日本なんかよりも全然沢山)街中に並ぶ。そのようなイテウォンのメイン・ストリートを散策しながら辿り着いた、編集長おすすめの韓定食料理の店で舌鼓を打つ。食卓が小鉢だらけだ。そうして本日の締めは韓国式サウナ「チムジルバン」。スニーカー欲しいかもとかなんとか、そういった汚れた気持ち(嘘)を汗とともに流したならば、身も心も強制終了のソウル・ナイトクルージング・第二夜なのでした。




・日本の、名古屋の朝。



・霧の中ソウル到着は13時。



・ソウルタワーです。



・スユ+ノモのカフェの様子。



・インタビュー&ミーティング中。



・ゲストハウスの壁に書かれて(描かれて)いました。



・ソウル駅近辺の風景。夕方。



・食堂での食事。遠慮して盛ったのですぐにおかわりする前。



・10000ウォンは1300円程度とお考えください。



・オールアメリカンダイナー&スターバックスコーヒー。



・食卓が小鉢だらけの図、全部違うお惣菜です。