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  映像研究

MM2011の記憶・2日目

 
・覚えている限りのMMの記憶は2日目。テントの中で目を覚ますけれどもここは山ではない。名称に山を冠したフェスティヴァルであることに間違いない。そしてテントからもそもそと起き出たならば、同じようにテントから顔を出した人たちと「おはよう」と挨拶をし合う午前8時。今朝の朝食であるところのスペシャルなサンドウィッチは国立ガールズの担当。基本的に食事は毎食500円のカンパというシステムになった。ある限定された範囲の社会としてはもう少しだけリーズナブルであったならば良かったけれども、それもまたひとつの実験だった。例えば生活の中での実験ということで言うならば、2008年の春に韓国に旅行(少し取材)に行ったことを思いだす。「スユ+ノモ」という名称の、学びのためのコミューンのような場所に数日泊まらせてもらった。あの場所もこのような朝食だったかもしれない。食べることとコミュニティについて。



・そして本日は昼間の時間を通じて「MM秋の実習授業」というプログラムが走る。「衣・食・住」のそれぞれにまつわるものづくりのワークショップを開催します、というその部分だけを聞いたならばまるで普通の文化的な事業のようなプログラムはしかし完全に手探りながらも完全に先生役のみんなのおかげで基本的に大成功。楽しくかつ学びの時間になる。校庭にはわいわいと集まって廃材の木を使って椅子をつくる人たちがいる一方で、その隣にはふむふむと集まって玉ねぎの皮を煮出した汁で布を染める人たちがいる。そしてまた校舎の中ではざわざわと集まってまんじゅうをつくる人たちもいる。甘酒を発酵させてみたりもしている。遊びに遊んだ。遊びは感覚を試してみることであって、感覚を試すことは知恵を得ることであって、その得た知恵は「共有=シェア」ということを考えるきっかけになるだろう。そのような時間が生まれると良いと思っていた。その実感のための実践でもあり実験でもあるような体験と出来事について。



・そうしてしかしそこから先はまったくもってバタバタと「お楽しみ会」の準備をする。土曜日の夕方であるのだからこのタイミングで更に色々な人たちが里に集まってきた。集まってきた人たちとともに出来上がったまんじゅうを食べる。食べながら各種準備が進行する。「お楽しみ会」のパフォーマーたちのリハーサルも進行する。キッチンにはカレーのにおいがする。人が集まることと新しい予感について。



・人が集まって音楽が演奏された。楽器を演奏する人がいて、歌を歌う人がいた。影絵で物語を上演する人もいた。映像を映しながらセッションする人たちもいた。文字通りの飛び入りで飛び込まされてギターをかき鳴らしながら歌う人もいた。みんな演奏の合間に話をする。MCのようなかたちで話をする人がいて、あるいはまたステージが終わった後に「良かったよ」という感じで普通に話が始まったりもした。楽器を演奏したり歌を歌ったりすることには独特の、物凄い大きな力が必要なのだなということを考える。その力について。具体的に覚えているフレーズと具体的には覚えていない場所の雰囲気について。感じについて。そして2日続けて目の前で演奏される音楽を聴くことの出来る幸せについて。その贅沢さについて。



・「お楽しみ会」が終わったならばまたテントに戻る。その「またテントに戻る」感覚の面白さということが、このフェスティヴァルを2泊で構想したひとつの理由かもしれないと思う。眠る。