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  映像研究

また思い出す

 
・また書くことを思い出す。新しい学期の準備をしながらの日々。準備をしながら何かを読む。何かを読むことが新しい学期の準備に、そして新しい自分の関心の準備になるかもしれない。『東京人』という雑誌の「フィールドワーカーになる」という特集が面白かった。特にテレビがその対象を「世界」から「近所」へと移らせていったことについて書かれた尾関憲一さんという人の文章が面白かった。そしてこのように「普通の言葉で書かれた、普通の対象を題材とした、普通に読める、そして何かを考えるきっかけになる文章」を集めたいと思う。


・一方で「普通の言葉で書かれた、普通の対象を題材とした…、」というふうには思わないけれども面白い、がんばって内容を理解しようとして、そのことによって新しい展望を得るような「読むこと」がある。『表象』の新しい号の特集「ポストメディウム映像のゆくえ」が面白い。あらためてベンヤミンをちゃんと読み直してみたいと思う。それからこの間某インターネット販売サーヴィスから2000円分のクーポンをもらったので思わず購入してしまったランシエールの『解放された観客』という本も関係がある。読むことを思い出す。


・また別のこととしては、植物や種について知りたいと思って、前から行きたかった飯能の『野口種苗研究所』に行って、いくつかの野菜の種、そして「自然農法」や「自家採種」について書かれた冊子を手に入れた。たとえば「F1」というような、種の色々な種類は、それはどういうことなのかということを勉強してみたいと思っていたかもしれない。あるいは家庭菜園のハードルを少しだけ上げてみたいと思っているかもしれない。まださわりを読んだだけだけれども、あらためて植物と土との関係の不思議を思う。また同時になぜかこのタイミングで自分が食べている物のことが気になったりもする。何かを購入するときに、商品の成分表示を見て、そこに書かれた意味を調べる場面がある。食物に含まれているものに注意することを思い出す。