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  映像研究

乗り物から春

 
・春は乗り物。乗り物から見る春。乗り物から見る春の街はどうしてこんなにも良いのか。昨日久しぶりに山手線で高田馬場を通り過ぎたけれども、少し西に傾いた太陽の光が照らすあの神田川の感じが非常に良かった。バスから見る小学校の桜の木なども良い。別に桜がなくても良い。基本的に良い。良過ぎる。そんなことを考えつつ13日は水曜日。実家にて目が覚めてインターネットしているとアップリンクの鎌仲ひとみ監督特集、自分が観に行けるのは今日が最後だということに気がついて、それで急いで出かける。西武池袋線から副都心線の乗り入れでダイレクトに渋谷へ。途中大きめの余震。電車の中で携帯電話の緊急地震速報が鳴る(しかもアンサンブル)ことの不穏さよ。それでもどうにか時間通りに渋谷着。


・はじめに『ヒバクシャ―世界の終わりに』を鑑賞。ほぼ満席。この映画を今すぐできる限り多くの人が観なければいけないと思う。休憩を挟んで『六ヶ所村ラプソディー』鑑賞。完全に満席&立ち見。3年前に一度観ていたもののこのタイミングで観ると全く意味が違う。途中六ヶ所村の再処理工場で放射能漏れ事故が起こったという設定で避難訓練が行われるシーンがあるのだけれども、放射能を測定する機械をかざされた子どもなどはよくわからずちょっと笑ったりしている。女性は「これは実際のときはどうなんでしょうねぇ」みたいなことを話してもいる。「ああ」と思う。その「実際のとき」が今だということ。場所こそ違えども完全に今そのことが起こっている。そのことを考えるとくらくらどころか何とも言えない気持ちになる。そして前回も「うーん」と思ったエンディング間際の米を作る女性の「原発には『賛成』か『反対』かしかない/『中立』は『黙認』することになってしまう」という言葉も、今だからこそ切実に響く。本当は「今だからこそ」も何もないはずなのだけれども。


・終了後偶然同じ回を観ていた知人と会ったので10日の高円寺デモのことなど少し話す。今この状況においてアンテナを張っている人同士がある情報を通じて確実に何かを共有しているということは良いことだと思う一方、やはりこれから先3.11以降の問題と長期的に関わっていくにあたっては「アンテナを張っている人同士」とか言っているのもどうなのか。昨日夜にはSMDくんから「友人とのデモに対する意識の違い」についてのメールが来ていた。そういうことも少しは考えなくてはいけない。のかもしれない。渋谷から池袋へ。ややあって実家の最寄り駅まで戻り友人Y邸へ。震災直後のBBQ未遂以来約1ヶ月ぶりに会って色々話す。幼児と乳幼児を抱えたYはもちろん原発のことを多少なりとも気にしつつも、それでも何とか普段通りの生活を送ろうとしている。だから自分はともかくその言葉に耳を傾ける。そして突然「ところで何のTシャツ作ってたの?」と聞かれて「えーーーと、…デモ」とここでも10日の高円寺デモのことを少し話す。案外興味を持ってくれた。「それ誘ってよ」とも。あらゆる意味でニュートラルである友人の反応に気づかされることがある。黙っているとカレーライスが運ばれてきたのでごちそうになる。このようにしてパートタイムな居候であることによって自分は生かされているのだということも感じつつ「またね」と21時過ぎには帰宅。23時には就寝。


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・4月14日は木曜日。朝起きて朝ご飯。本を読んだりインターネットをしたり実家の家族の買い物を手伝ったりしている午前中から昼過ぎ。ほぼ毎日チェックしてしまう、今や熊本在住であるらしい某建築探検家の日記を読んでいて爆笑。「東京から来たカメラマンと翻訳家の夫婦」って。そのような夫婦が今この国にそんなに沢山いるとも思えないので確認してみたところやっぱりそれはT夫妻のことだった。さすがアクティヴだなぁ。面白い。


・夕方に出かけて吉祥寺へ。せっかくなので母校(高校)のある大泉学園からバスで吉祥寺へ。ここでもまたバスから見る春の景色の良さ。吉祥寺について駅中でワイン購入。SMDくんの事務所のシェア仲間のお花見があるとのことで一瞬お邪魔する。井の頭公園のちょっと外れたところで飲食。これから更に楽しくなりそうなタイミング(いせやの焼き鳥が来そうなタイミング)でしかし自分はおいとまして久しぶりの高尾に帰宅。DOMMUNEにて「緊急配信!TALKING about DEMO!」を見る。10日の高円寺デモについて。に限らず「今の状況」に対する認識とアクションについて。MOOCHYという人が個人的に聞いたという街の人の原発の現状についての認識が興味深かった。考えつつ夜。