・11月21日（日）。秋から冬へと移りゆく日曜日らしい日曜日のような気候。石油ファンヒーターはすでにフル稼働中。アラジン・ストーブも援護射撃的に活動中。検索ワード「おしゃれ 石油ストーブ」も急上昇中の朝。睡眠に充てる予定が通勤車両にてぱらぱらっとしていた『輸入レコード商売往来 (就職しないで生きるには 4)』読了。たまたま古書店の均一棚で発見して読んでみたらとても面白かった。「就職しないで生きるにはシリーズ」にはずれなし。一番新しい『spectator』にも載っていたけれども、「模索舎」との繋がりのあたりが特に興味深い。途中のバブルらしい展開はそれはそれで興味深いがまったく想像もできない。新宿駅BERGにてモーニング・プレート。出勤前の朝にかたや仕事ではなさそうな方達がビールとかワインだとかを飲んでるのを見ると落ち着くよね、と思いながら業務へ。今日に限って非常に慌ただしくほぼ半日が一瞬にして過ぎる。労働だ。20時終了。
・21時に国立駅にてSくんと待ち合わせてMMのMTG。差し迫ってきてなんだか妙に焦ってしまうのだけれども、本来の目的である「誰にも何も頼まれていないことをただ面白いからやる」ということをやり通したいと思う、というほど大袈裟なことでもないですけれども。自動車をレンタルすると非常に高価だから何とか乗り合い方式で移動＆輸送が出来ないものだろうかという提案。可能なかぎり日本円を使用しない方向のフェスティヴァルを指向したいと思う。その他非常に些末なことではあるけれども「遠足のしおりのような会場案内図のような、つまりビラ」を作りたいという自分の首を絞める系の提案。昭和後期の小学校のプリント感（わら半紙）を忠実に再現できたならば超お洒落だと思っているが、それがスタイルになってしまうのもどうなのか。たとえば「そんなものに使うお金なんて全くない」という状況が生みだす表現というものがあったならそれが一番適切で、強いていうならお洒落だ。そして幸いにも今私たちには「そんなものに使うお金なんて全くない」。
・ふと思い立って押し入れからファイルを取り出したならば、この数年で何らかの経緯でこの場所にやってきたチラシ、ビラ、ZINE、フライヤーの類いを机の上に並べてみる。もちろん色々な気持ちで色々なテンションで作られたそれはひとつずつ全然違っているのだけれども、良い物はどれもシンプルな顔をしているように思われる。手の届く範囲にあった紙とペンを使って思いつきで書いてみたような物。ふと思い立ってコンピュータに打ち込んだテキストをそのままプリントアウトして綴じたような物。宛のない手紙のような物。冷蔵庫に貼られたメモのような物。そういう物の良さを思うほどに何故か「小学校の先生は猛烈なペースで手書きでわら半紙に刷ったプリントバンバン配っていて、あれは相当なことだったのだな」と思いだした。当時はまったく気にも留めなかった「なわとびをしている二頭身くらいの女の子のカット」が丁寧に貼り付けてあったりするのは相当に相当だ。だから何かああいう種類の雰囲気の物を作れたら良いのになぁと思う。
・そうしてまた別のプログラムでは、このフェスティヴァルに来る人みんなで「物々交換」をしようとしている。アトラクションとして、アクティヴィティとして、アクションとしての「物々交換」とは何か。フェスティヴァルの本質（のひとつ）が「贈与」にあるのならば、物をすっかり捧げることと物が求めずとも渡されることが同時に起こるということは、贈与にまつわる「送る側」「送られる側」の両方のパートを兼ねる体験になる。そのことが面白そうだ。そしてしかもそれはただのプレゼント交換ではなくて「かつて使われていた物」であって欲しいのだ。そこにはまだ言葉にできないトレンディーな何かがある。そしてその「かつて使われていた物」と呼びたくなる独特の雰囲気は「冷蔵庫に貼られたメモのような物」と関係があるようにも思う。思いつきですけれども。
・そのこととは関係がほとんどないなりにここ最近「バザー」という言葉が異常にトレンディーな気がして仕方がない。数年前に「同じ古着を活かしたファッションでも、Sくんは『フリマ』ってかんじだけどHちゃんは『バザー』ってかんじだね」と言ってHちゃんを完全に怒らせたことがあったけれども（ちょっとちょっかい出してみた）、今や確実に「フリマ」よりも「バザー」の方がお洒落だ。「フリマ」は完全に終わっているストリート・ブランドの何かを数千円で売りつけられそうだが、「バザー」は200円くらいで「変な柄転じて未来系なニット」とかが買える気がする。そしたらどう考えても「バザー」の方がいいだろう。完全にイメージだけど。イメージは大切なので。「バザー」は「バザール」を想起させられるところも良い。地に足がついている。だから「バザー」をやりたい。しかしとりあえず今回は「物々交換」に挑戦する。
