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  映像研究

ファースト・フード店の天国的な概念と感想について

 
・天国について。本来のその概念がどういったコンセプトなのかは全く存じておりませんが、「天国」という言葉の持つイメージは何となく好ましく思います。例えば懐かしのテレビ番組「料理天国」。夕方のほんわかしたムードと昭和のゴージャス感のファミリー仕様とでも言いますか…とにかく何か安心出来るようなニュアンスを感じたものです。あるいは「歩行者天国」。忘れがちですがあの言葉のちょっとした(仮設的な)ハレの場感みたいなかんじはなかなか良いと思います。そしてそんな中で職場の近くにも「天国」がありました。某「カントリー調のハンバーガーチェーン店」に現れた看板に書かれていた文字が「喫煙天国」。2009年に東京の真ん中の、それもチェーン店の一店舗がそのようなことを謳って許されるのかどうか、考えてみればそれは本当に奇跡のような場所なのではないでしょうか。その店舗は以前からハロウィンの飾り付けが少しばかり過剰だったり、ポテトのサービスが良すぎたり、夕方からライブが始まったりと「あれ?ちょっとフリーダムすぎ?」っていうようなスペースで、ファースト・フード店としては例外的に凄くファンだったのですが、この「喫煙天国」に至っては、もうほとんど感動、というか尊敬というか、いつまでもそのようなスタンスで営業していただきたいと思う次第であります。


・ちなみにこれは以前にも書き記したことがあるように記憶していますけれども、自分は喫煙者ではないのですが、そのような非喫煙者こそがむしろ「喫煙する自由」について考えたり「ちょっと過剰な禁煙ムード」を気持ち悪いと表現したりするべきだと日頃から考えているのです。



・感想について。また別の全く違った種類の食べ物を販売している某ドーナッツのチェーン店にて。コーヒーがおかわり出来るという特典につけ込んで時折この某チェーン店にて読書をしていたりすることがあるのですけれども、本を読んでいて、ふと顔を上げて目の前の紙ナプキンが入ったアレに張られているドーナッツ店の広告を読んでいて、かなり不思議な気持ちになってしまい、あまり普段このようなバウ的な写真とかは撮らないのですが、まぁなんかこれもある種のイメージング・備忘録だしな、と思って撮影したのが以下の写真です。広告の端に数mmのサイズで書かれた「コメントは個人の感想です。」という文字に「いや、あの、うん、そう…だろう、ね。」と恐る恐るのツッコミを入れないことには何か収拾がつかないような微妙な気持ちがしてしまったのでした。


・例えばこの場合黙っていると「ちょっとコレ、パリパリしてないんだけど!」とか「なにこれ!フワフワじゃないじゃん!」とか「あの〜『ぜいたく』とは言い難いんですけど…」とか言われてしまう恐れがあるのでしょうか。わかりませんが、もしも言われたとして、それはもうユーモアの一環な気がします。そしてその言われてもいない(ほとんど言われる可能性のないであろう)クレーム的なものに怯えるように「コメントは個人の感想です。」という返答を用意しなければいけないのでしょうか。イメージとしては、困ったときにはすぐ口にできるようにその言葉をしっかり頭に叩き込みながら、それでもお守りのように常に持っているために、すべての広告の端には小さな文字で記しておく、そんなことをしなければ本当にいけないのでしょうか。面白ければ笑えば良いのだけれども、面白いわけでもない場合の反応は難しい。恐らくこのような事例はあらゆる場所でありうることなのであろうということは理解出来るけれども、本当にどうにもこうにもわけがわからないので、そのためにも全然違う種類の言葉と表現を、そしてその前提となる全然違う種類の自由を考えたいと思う。