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  映像研究

ああ、また本を買ってしまった備忘録

 
・14日(金)は家から業務までの道のりに数冊の古書を購入してしまう。今、読むべき本は行列をなしているような状況であるのに、その行列には次から次へと新たな横入りばかりといったような現状です。


・「さて、電車に乗るまでにはまだ少し時間があるな」と思ってふらっと入った高尾駅文雅堂にて、花森安治一戔五厘の旗』を見つけて思わず購入。世にもおしゃれな「一戔五厘の旗」が並んだ装丁もさることながら、あるいは「商品テスト」のコンセプチュアル・アートっぷりもさることながら、やっぱり今読むべきは「見よ、ぼくら一戔五厘の旗」のようなテキストだと思う。このテキストは確かイルコモンズという人がブログか何かで紹介していたり、あるいは椹木野衣という人が『日本・現代・美術』の最後に「暮しの手帖」を引いていたり、というようなことから気になっていたもの。そして昭和45年に書かれた文章が、あまりにも自分の「今」の気持ちにぴったりくるものであったものだから、京王線の中で読んでいて、周りを見回して少し切なくなったのでした。


・「珈琲豆を買っておこう」と思って降り立った下北沢の古書店(名前は存じていないけれども坂の途中のあそこです)にて、高橋悠治音の静寂 静寂の音』を見つけてしまって、自分にとっての古書価格の基準を超えていたものの購入。詩のようでいて、また論文のようでいて、そのどちらでもなく、且つそのどちらに対しても緊張感を持っている(批評性を持っている)ような、高橋悠治という人が書くテキストがとても好きだ。そしてこのテキストは全く個人的な居酒屋トーク的な持論としての「その人が書く字はその人の歌声と同じものだ」という論を補完するため、ではなくって、もう少し真面目なことを考えるきっかけにもなるだろう。「かたち」と同様に「音」も何かを「判断」することとは、違った理解の仕方をするために有効な方法である、とか何とか。井の頭線の中で読んでいてぐっとくる。それ以外にも増田聡その音楽の<作者>とは誰か リミックス・産業・著作権』も購入。某TK騒動とは特に関係なく、これもまた最近興味のある分野。


・「ヤバい、業務に遅れる!」と思いつつも新宿駅から御苑方面を経て1丁目方面に移動して某古書店にて、最近探していて見つけたらダブっても買ってしまう、芦沢一洋『アーバン・アウトドア・ライフ (講談社現代新書 (736))』を購入(ダブったら山部の部員に配給するのです)。最近「ちょっと前までのデザインの講談社現代新書」がマイ・ブームだったりして、古書店に行くと真っ先に(あるいはあえて最後のお楽しみに残しておいて)あのクリーム色の装丁が並んだ棚を目でスキャニングしているのでした。以前はこの「現代」的な新書の並びが、ちょっと自己啓発モノ多めな気がしていて少し苦手だったのだけれども、このように新刊書店の本の95%が自己啓発化してしまった憂うべき現状(とか言ってみた)においては、そのような「知らないことを知りたい!」というようなテンション?が、逆に愛おしかったりする(まぁ色々ですけれども)。その後職場でもそのような話題をする。


・移動しながら色々なものを読んだりしつつ、「もう少しまとまったことを考えなければなぁ」とも思っている今日この頃。