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  映像研究

7月の第2土曜日/もうひとつの家を買い、それを背負って、山に登る。

 
・7月。思い立って、思い切って、家賃にして約ひと月分の貨幣を支払って、持ち運びが可能な、もうひとつの家を買う。テントとシュラフとマット、それらを持ち運ぶことで、余程の極地でない限り、いろいろなところに移動し、その場所で眠ることができ、またそこから移動することができるということは、自分にとっては、住まう、ということについての新しい発想だ。しかしながら(山登りに興味がある方以外は知ったことではないでしょうけれども)「35Lのリュック・サック」にテント泊用の装備一式をパッキングするというのは、これはなかなか至難の業なのであって、前日の夜は眠れずに奮闘中。


・そして7月の第2土曜日は山部 vol.8。早朝の中央線を下って甲府。バスに乗り込んだならば「夜叉神峠」という、ジャパニーズ・トライヴァルな、世にも素敵な名称を持つ峠へ到着する。そしてその場所から移動が始まる。少し前まで「縦走」の読み方もわからず(正しくは「じゅうそう」)、日本アルプスがどのように構成されているのかも知らなかった自分が、今や南アルプス的なものに登ろうとしているのだった。天気は快晴。リュック・サックは重く、しかし足は軽やかに、右手はxactiで映像を撮影する。全く無意味に本気で遊ぼうとしていることが、それこそが、夢で見たような大人ってかんじだ。







・予定の時間よりやや早く、3時すぎに目的の南御室小屋に到着したならば、その場所にMYテント、エア・ライズ a.k.a もうひとつの家、を建てる。建てるプロセスも当然xactiで撮影(大分はしゃぎすぎ)、そしてお茶を入れ、ビールなども飲みつつ、当然夕食だって作り、戯れに一番星など見つけたならば、8時には就寝。山の夜は早い。朝も早い。しかしそんなこと言ったって、シティに生活する人間は急には眠れないので、ノートをとり出してメモ。宇宙とひとつになったような、マージナル系のポエムなど全く書けない自分は、今日持ってくるはずで忘れたものを書き出す。しかし「三脚」「粉末ポカリ」「あらゆる電池」「枕問題」はあとで読み返すとやや謎の言葉だったのでした。