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  映像研究

寒くない、全然寒くない。

 
・日に日に気温は低くなり、日に日に日照時間は短縮される。冷蔵庫のビールのプライオリティは低くなり、帰り道の星空は比較的クリアに見える。季節とともに色々な変化を感じつつ日々生活する。この数日電車の中で読んでいるのは見田宗介の『社会学入門―人間と社会の未来 (岩波新書)』という本で、以前に読んだことのある『気流の鳴る音』や『時間の比較社会学』でも触れられているような内容を通りつつも、今読むべきと思われる後半の展開が楽しみでもある。あるいはまた数日前には「スペクタクル」について記しておきながらも、一方新宿の某シネコンではちゃっかり(?)『THIS IS IT』を観に行ったりするのも、自分としてはとてもこの秋らしい過ごし方だと思う。だってまわりの人がみんな観に行ったって言うんだもの(しかもオススメされるんだもの)。内容はいわゆるドキュメンタリー映画だとは言いきれず、かといってファンでない人は楽しめないただの蔵出し映像かというと、決してそんなことはない、非常に面白い映像作品でした。しかしその感想については、自分がほとんど10年以上に渡って個人的に研究してきた(と言い張っている)極私的・身体論を引っ張りだしてああだこうだと考えたりしてみたくもあるので、そのうちまとめて備忘録しようと思ったりもするのでした。


・今日(水曜日)は、前日(火曜日)に某カレー店で開催されたラム祭の余波でうっかり寝坊しながらも、もそもそと起きだして横浜へ向かう。元同僚の展覧会に行けるのは今日しかないじゃないかと思い立って急遽横浜。本当ならば「横浜国際映像祭」通称CREAMも一緒に行こうじゃないかと思っていたのだけれども、時間の都合上それは叶わず。しかしとにかくその展示が色々な意味で非常にぐっとくる内容で良かった。その後ほくほくしながら、横浜に行ったら必ず立ち寄ることにしている古書店、関内の「田辺書店」へ。数冊面白そう&見たことのない書籍を購入。特にジャック・ケルアック禅ヒッピー (太陽選書 22)』という本は背表紙に大きく記されたタイトルに完全にやられてしまった感あり。目次を見ても『飲むほどに酔うほどに』とか『山頂の絶唱』とか『テキーラとセニョリータ』『ヨーデレイヒー!』とか「禅」なのか「ヒッピー」なのか両方なのか、そのどちらにも精通していない自分にとっては、ちょっと未知のテンションなので読む前から恐ろしい。しかし読むのが恐ろしい本ってちょっと良いと思う。そのような恐ろしい本で鞄を変形させながら多摩地区へ戻り、夜は業務関係のMTG。新しい季節が更にグラデーション的にやってこようとしている予感。

重要なことは「領域横断的」であるということではないのです。「越境する知」ということは結果であって、目的とすることではありません。何の結果であるかというと、自分にとってほんとうに大切な問題に、どこまでも誠実である、という態度の結果なのです。あるいは現在の人類にとって、切実にアクチュアルであると思われる問題について、手放すことなく追及しつづける、という覚悟の結果なのです。近代の知のシステムは、専門分化主義ですから、あちこちに「立入禁止」の札が立ってます。(略)しかし、この立入禁止の立て札の前で止まってしまうと、現代社会の大切な問題たちは、解けないのです。そのために、ほんとうに大切な問題、自分にとって、あるいは現代の人類にとって、切実にアクチュアルな問題をどこまでも追及しようとする人間は、やむにやまれず境界を突破するのです。
社会学入門 人間と社会の未来』見田宗介