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  映像研究

2022年のコートについて

・2022年12月の第二日曜日の記録。業務の「二学期」と呼ばれるタームの最終日。一つずつ終わらせていく。「もっとこのようにできた」と考えることがあるにはあるが、考え得る限りかなり最善に近い仕事がこれだと言うことはできる。といった自画自賛、同僚との過剰な讃え合い、それによって生じる異様な達成感、それを演じる場としての打ち上げなるものがかつてならばあった。忘年的な要素も相まって帰宅できるかどうか危ういラインまで攻めた。その日々は遠い。とはいえいつか別の形で同僚に言葉を伝えたい。

 

・夕方からは全然別の種類の宴会が発生する。日曜日を色々に過ごした友人たちと新宿で合流。ベルクで気をつけながらの飲食。親知らずの抜歯以来初の飲酒は今月の白。互いの近況を聞き合いもう少しだけと横町方面へ。後半は主に30代以降の「新たな出会い」についての意見交換だった。「出会い」という語に結晶したニュアンスを解きほぐしながら、何か後輩に役立つ提案ができればと思ったが、すべてはすべて即興の結果でしかないとも思う。期せずして自分の約20年を振り返ることにもなった。こうした会話は少し忘年らしい。

 

・帰宅してメルカリで購入したコートが届いていたから、開封して試着するなど。久しぶりにコートと呼べる衣料品を購入した。ぺらっとした軽めの物ならば数年に一度何かしら新たに手にしているが、それ以外には父親のおさがりで凌ぐなどした結果として、本気の上着に関しては、大学4年のこの時期に購入したPHデザインのダウンジャケット以来なのではないか。卒制で大学に泊まる際に寝袋がわりになりそうなダウン。セレクトショップの店員さんに「モンクレーやパタゴニアのダスパーカは被りますけどこれを着ているのは本気の登山家かハリウッドスターか僕だけです」という謎のプレゼンをされて購入した。当時の5万円は相当な清水の舞台的な買い物だったことも懐かしい。

 

・そうして現代では、同じ質の物を求めれば倍以上の値段になるのだろう。いつの間にか、思わず気持ちが高揚するようなコートは大抵10万円以上という世界になっていた。そうした品の購入を難しいと感じるならば別の方法を考えなければならない。定期的な検索と想像上の試着。説明文の読解。限られた選択肢をかいくぐって入手した、プリマロフトの詰まったオリーブ色のコートを、この先可能な限り着る。