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  映像研究

今年一番

・202203102104。帰宅する京王線で書いても良い。今年一番歩いたことをiPhoneが教えてくれる。iPhoneを持たずに歩いている可能性は無いのだろうか。無いのかもしれない。少なくともこの一ヶ月のうちの半分は自宅のデスクにいたのだしその結果全然歩いていない。

 

・歩くことは移動である以前に運動であることを思い出した。マスクを捨てたくなるほどに息を切らして歩く。歩くことはリズムでもあった。右足と左足が必ず交互に地面を打つ。反発した力は全身を震わせて脳を撹拌するように感じた。春のアスファルトを響かせる。

 

・朝食は久しぶりにベルクでモーニングプレート。店内に流れる音楽は『Give Peace a Chance』。家にパンを買う。「この星のどこかで」と過りながらモーニングプレート。

 

・山手線で池袋は大学の図書館へ。その後有楽町線で麹町は市ヶ谷のJCIIのライブラリーへ。書いている論文のために必要な図書資料を集めてまわる。半蔵門線で渋谷へ。古書サンエーで古い雑誌を探す。タイムリミットでバスに乗車して初台へ。

 

・電車を乗り継いだ方が早いことはわかっていながらもバスに乗りたかった。公園通り、井の頭通り、山手通りとバスの窓から見る。歩道が見やすい席に座る。人の様子や春らしさが連なる。

 

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・バスが停車したタイミングで視線の先に名指し難い空き地を見る。もしも自分があの場所にいたならば、その場所をどのように見るのだろうか。あるいはもしも写真に撮るならば、どのように撮るのだろうか、と考えて、自分がiPhoneを手にしていたことを思い出す。写す。

 

・職場に着けば7時間が一瞬で消える。今日計画している業務が実現する時には、この場所の私たちは完全に春の中心にいるはずだった。その時に戦争は終わっているのだろうか。