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  映像研究

祈る

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・パーティーの翌日は日常だった。駅までの道を自転車で行く。数カ所ある田んぼではいままさに収穫の時を迎えた稲が充分な実りで伸ばした丈を横たえている。その様子を一枚だけ記録しておきたかった。熊本では友人たちが稲刈りをしているということを聞いて、その日が良い日であるようにと祈る。祈るよりもメールかLINEを送るべきかと思ったが祈りのすべてを電子化することはできない(その一部あるいは痕跡ならば残せるだろうか?)から思うことだけをした。自分は業務へ。業務の中に小さな事件やギフトのような時間がある。昨日からのパーティーがまだ続いているようでもある。騒がしく生き生きとしている。まったく別の人間たちが蠢いていると思う。夕方に業務を終えて気をつけながら同僚たちと数ヶ月ぶりの飲食。気持ちと身体を緩める時間。アルコールと塩分とタンパク質。そして言葉。その最中にふいに稲刈りの様子が、撮影された写真が送られてきて、思わずおっと声をあげる。自分がいる、見ている、都心の駅ビルの、オープンテラスのレストランの光景に、全然違う場所のイメージが飛んでくる。これが魔法でなくてなんなのか、アルコールのせいでそのようにも思う。22:00に帰宅して、休日に『ドライブ・マイ・カー』を鑑賞してきた家族と、ビールを少し飲みながら色々な感想を話す。話しながら少しずつ意識を失う。