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  映像研究

たけのこ、カメラ、府中街道

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・あとから思い出して書いておく2021年の緊急事態宣言下における大型連休後半の記録。

 

・今日も朝からたけのこを掘りに行く。遂に「中一日」で堀に行くようになってしまった。一昨日の様子と今朝の様子を比べることから土の下の根のことを考える。想像する。いかにも想像していた通りの箇所から出てくることもあるけれども、ちょっと予想外の箇所から出てくることも楽しい。「今年ももう最後だろうか」と何度も言いながら今日も掘る。とはいえ本当に今度ばかりは最後かもしれない。少量を近くの直売所に出荷して午前中が終わる。

 

・昼に出発して車で自分の実家へ。新小金井街道を北上して東京を縦断。道中の街道沿いの店はどこも混雑している。これが現在の都下の光景。自分もまた外出している。実家で一時間程度の「マスク喫茶」。そして連休中の仕事だった父の部屋の整理。画材を妻が、カメラを自分が引き取る。7年以上経ってようやく時間が動き出したように感じた。全然興味のなかった中古カメラの山はしかし手に取ってみると面白い。なぜこんなカメラを購入したのだろうかと思いながら。自分が二年ほど前にえいっと思ってGW690iii用にと購入した露出計と全く同じものが出てきて笑った。だぶっても仕方ないので手伝ってくれた従兄弟に譲る(押し付ける)。半分は処分して半分は持ち帰る。

 

・おそらくは2000年前後に購入されたであろう、その時代にあって既に「古いカメラ」で自分の父親はいったい何を写していたのか。あるいは写そうとしたのか。そもそも写すことが目的だったのだろうか。その頃の自分は今とは少し違った意味で、それなりに写真を撮ることを真剣に考えていたから、写真を撮ることを一義とせずにカメラを購入する態度は許しがたかったが、それをからかいつつ時にはカメラや写真の話をしたような気もする。覚えていない。どこで購入したのかはわからないけれども、新橋や、新宿や、目黒あたりの中古カメラ店は定期的に調査していたのではないか。うち2台のカメラに撮影しかけのカラーネガフィルムが入っていたから、数枚写してフィルムを抜き取る。何が写っているのか。

 

・犬の散歩もまた今度、ということにして明るいうちに帰路。来た道と同じ新小金井街道を南下するのでは面白くないからと志木街道〜府中街道で帰る。小学校や中学校の通学路を過ぎて通っていた大学の近くを通る。スピーカーに繋いだiPadから高校の時によく聴いていたような音楽が流れる。小学校・中学校・高校・大学と、のべで15年ほどあるのだけれども、なおかつそれぞれの「現在」においてはその地点から見る「過去」はそれぞれ断絶された「古い記憶」なのだけれども、こうしてさらに時間が経った現在から、そうした過去を混ぜ合わせるように捉えると、圧縮された「昔」になる。それは東京から超望遠レンズで西の方角の映像を写したときの、西新宿も、八王子も、富士山も、全く同じようにフレームに収まるような奇妙さと似ている。この「昔」が、記憶なのか。あるいは「個人の歴史」でもあるのか。

 

・と考えながらしかし聖蹟桜ヶ丘でおつかいをして帰宅する。久しぶりにノンアルコールで就寝する。