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  映像研究

冬の深さ

・202101192142。満員に近い朝の電車に揺られていた時間から13時間が消えた。ほどよく空いた電車で帰宅する。乗り換えの笹塚駅のホームが恐ろしく寒い。自分が知っている場所で最も寒いのは真冬の笹塚駅のホームである。しかも大抵しばらく電車が来ない。冬の真ん中を過ぎたと思いたいが、冬の一番深いところはまだこの先だろうか。換気が推奨される職員のための部屋で、寒いですね、寒いですよね、と言い合いながら過ごす日々。一方で教室は暖かい。天気予報の最高気温を気にしながらこの寒さが過ぎるのを待っている日々。毎年2月の上旬に業務がひと段落するが、その時期には空気の感じが変わる。気温は低くとも寒さの中に小さな温みの種のようなものが感じられる、ように思うことがある。それは予感か。あるいは記憶によるものか。しかし確かに梅や気の早い桜は芽吹く。ベランダの山椒も。それらの植物の持っている環境の変化を受容する機能と似たものが自分の身体にも備わっているのだろうか。