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  映像研究

抽象と映像の夏、2012年の8月・その8

 









・まだ見ていない映像。クリス・マルケルの『サン・ソレイユ』という映像がいつでも気になっている。DVDは持っている。でもまだ見ていない。自分が今暮らす土地の過去の映像を見たい。例えば東京の過去の映像を見たい。今の、この場所とは違った風景を見たい。今のこの状況が、偶然に過ぎないのだと思えるような映像が見たい。この映像の続きとして今のこの状況があるのだと思えるような映像が見たい。だからそれは何でも良いのかもしれない。都市の光景や郊外の光景。そして里山の光景や高地の光景。風景や物体や人。それぞれの場所にはそのそれぞれのものでありながらひとつのものでもある時間が流れる。その時間を記録する。時間を記録するだろう。記録された時間はそこにあるままで色々な時間を参照する。参照されるだろう。


・業務の帰りに『ecocolo』という雑誌と『murren』という手作り感溢れる冊子を購入して、それを電車の中で読む。山について考える。山について考えないわけにはいかないだろう。そこに山は(いつだって)あるのにも関わらず、全然登れないのはどういうわけだろう。思い出す。思い出すだろう。思い出したいと思う。ある感覚を甦らせようとするだろう。全く不自然でない感じで感覚を甦らせる。全く別のものとして現れた感覚から何かを学ぶ。それは「新しさ」に関係のある感覚だと思う。もちろん山は(いつだって)「新しさ」と関わりがある。山登りについて考える。それは「日常」とは違った場面の山について。そしてまた日常的な山との関わりについても考える。想像して、甦らせる。