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  映像研究

2月が終われば3月。KANの次にはON。3歩進んで2歩下がる。

 
・毎年誰よりも「三寒四温」を信じている。「寒」よりも「温」の方が数が多いところが好き。日ごとに暖かくなっていく、といっても別に、10℃〜11℃〜12℃…と順番に暖かくなるわけでもないということを簡潔に表したクールな日本語の代表。ちょっと韻を踏んでるっぽい語感も好き。それでだから春になる。そのような2月の日々を思い返してみれば前半はとりあえず業務。そして中盤からは予想以上のスローダウンの中で色々と今年の、そして来年度の方針を考える。そういう計画的な考え方に慣れていないので大変だが、それもそれということで楽しもうと思う。


・そして今日は業務を終えて帰宅して、晩ご飯を食べつつテレヴィジョンのない部屋のNHKスペシャル的な意味で、借りてきたマイケル・ムーアの『キャピタリズム』を観る。そもそもは正月明けに『ゴダール・ソシアリスム』を観に行ったときにパンフを買い、完全についでに『キャピタリズム』のパンフだけ買ったならば、おや、右手にキャピタリズム、左手にソシアリスム、などとくだらないことをツイートした手前、せっかくだし(?)観ておこうかと思ったのだけれども、完全に観ておいて良かった。例えば『幸せの経済学』と『キャピタリズム』を観て、そして『うさぎ!』を読んでみたりすれば、大体今どういうことになっているのかわかるのではないかと思う。それは単に「社会のしくみの問題点」なのではないか。もちろんそれは現状の世論?の中では「ある方向から見れば」という注釈がつくのかもしれないのだけれども。


・ところでこのような備忘録を記しておいて良かったな、と思うのはひとつにはこういうときで、つまりたったこの4年くらいでも、そういうこと(資本主義やばくない?というような意見)はあんまり聞こえてこなかったし、言うのもちょっとはばかられる系の話題だったし、あるいは「え?資本主義批判?じゃああなたは社会主義共産党?」という謎の質問の前に口ごもらなければいけなかったりしたのだけど、2011年の今はもう少し普通なこととして「グローバルグローバルっていうけどさ、もう少し『ローカリズム』みたいなことも考えてみても良いんじゃないかなぁ」と言ったりする。その変化のことを頭に置いておきたい。あるいはこれは東京という大都市の、しかも西東京という微妙に一歩スローな地域に住んでいる、広い意味でのカルチャーに従事する、広い意味でのサーヴィス業という身分の人間の思うことだから、それはそれで限定されたコミュニティの中での意見なのかもしれないですけれども。


・それで「カルチャー」とか記すときに一瞬「クリエイティヴ」と書きそうになって、いや、まてよと思う。「クリエイティヴ」という言葉ほど、同時にこの数年で面白そうじゃなくなってしまった言葉もないんじゃないか、という完全にこれも私見です。「クリエイティヴ」と名指される物どもほど創造的でないことは非常に多く、しかもそれらがあらゆる場面に溢れているのだから、何がデフレかと言えばそれは「クリエイティヴ」という言葉だ。とか何とかそんなことを考えながら本当に3月。