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  映像研究

12時間寝て起きて月曜日・卒業制作みたいなPV

 
・題名のとおりに9時から9時までぐっすりと寝たのち起床する朝。晴れているが冷え込んでいて誠に冬らしい。フェスティヴァルも通り過ぎて句切りが良いので、今日からは「冬」ということにする。冬も悪くない。寒いこと及び風邪をひきやすいことは難点だけれども、季節それ自体は決して悪いものでもない。蜜柑とか食べられるし。いや、でもやっぱり寒いのは困るな。



・それで月曜日らしい休日を過ごそうと借りっぱなしだった本を返却するべく図書館へ。途中高尾駅北口で最近ランチにカレーをやってる「風」へ行き、優しめのスパイシーな(?)カレーをブランチとして食す。歩いて数分の圏内に信頼できる食べ物屋さん(特にランチ)があることは本当に有り難い。そうして西八王子の中央図書館にて本を返却。そしてまた借りる。返却したての棚にあって気になった『「循環型社会」を問う―生命・技術・経済』とかも借りてみる。そうこうしているうちに「今日は本の日だ」というスイッチが入ったので、荻窪西荻、吉祥寺の古書店を散策。返ってくる予定のなかった「フェスティヴァルの経費」が財布に入っているので(本当はそんなことはないのですが)何か裕福な気持ちになっていたのかもしれない。こないだ見つけて今読みたいと思っていた『竹 (ものと人間の文化史 10)』とか、やっぱり「マウンテン」とか言ってみてるからにはと思って手に取った『山―生きる・学ぶ・探る』とか、そして完全に衝動的に買った『リズム・サイエンス』なども、何の本だか全くわからないけれども面白そうかもと思った。



・18時帰宅。キャベツまるまる一個を買ってきたので半分くらいをコールスローにして食べよう。部屋を片づけながら写真の整理。そしてインターネット。podcastも聴く。『タマフル』の「宇多田ヒカル特集」には納得いく点も多いが、「歌詞」に関しては個人的には同じモチーフの別のところに注目して欲しかった、というこの感想を持ったことで、しかし自分はかなり相当に宇多田ヒカルの音楽、特に歌詞が好きなのだということに気づかされた。たとえば『Traveling』のBメロ?の「風にまたぎ月へ登り/僕の席は君の隣り/ふいに我に返りクラリ/春の夜の夢のごとし」「波とはしゃぎ雲を誘い/ついに僕は君に出会い/若さ故にすぐにチラリ/風の前の塵に同じ」の部分について「平家物語からの引用など古い言葉を使うところが面白い」というような(まとめると)解説があったけれども、ここはそのような中に「若さ故にすぐにチラリ」みたいな変なフレーズが入ってきて「?」と思ったところで「風の前の塵に同じ」が来ると「風かぁ、風ねぇ…」と思ってしまうような、何とも言えない趣が良いのではないでしょうか。あくまでも個人的な感想として。



・どんどん挙げてみる。あるいはその『Traveling』の「みんな盛り上がる時間だ/待ちきれず今夜隠れてた願いが疼きます」のような高揚感の直後に「どうしてだろうか/少しだけ不安が残ります」と歌う(言わなくてもいいような/言わない方がいいような)冷静さを面白いと思うし、同様に『幸せになろう』の「何も聞かずに続けて/これが「しあわせ」ならもっと欲しい/忘れそうになるその都度に/また交わしたい静かな誓い」の後に「初めてだったらよかったのに」と歌っていることを歌詞カードを見て知ったときの違和感も凄い。または『光』の「今時約束なんて不安にさせるだけかな/願いを口にしたいだけさ/家族にも紹介するよ/きっとうまくいくよ」という歌詞がメロディーに乗ったときの、あんまりうまくいきそうもないかんじとか、「もっと話そうよ/目前の明日のことも/テレビ消して/私のことだけを見ていてよ」の「私のことを全く構わずテレビばかり見ている男性」を描写する謎。幸せなのかどうなのか全く不明な生活感。その場合の「テレビ」は「14インチのテレビデオ」かもしれないくらいのリアリティ。挙げていくときりがないくらい、「ただ幸せみたいなことはあり得ないよ」と釘を刺されているようなライムの数々が本当のことなだけにいちいち迫力がある。



・そしてYOUTUBEで新曲『Goodbye Happiness』も見る。見て聴く。詰め込み過ぎ感と自己言及感(良い意味で)がまるで卒業制作みたいなプロモーション・ビデオだ。最初にあの黄色いソファーに座っていた頃は特にそれほど面白いとは思ってなかったけれども、今はそれを面白いと思う。そしてこの曲の中でも「ありのままで生きていけたらいいよね」のようなちょっと聴くと良さそうなフレーズの後に「大事な時もう一人の私が邪魔をするの」のような、言わなくてもいいような、俯瞰する、完全に本人の言葉があって、ああ、やっぱり凄いなと思う。芸能ニュース的なことに興味はないけれども、やや勝手に走りはじめたフレーズ「人間活動」(凄い言葉だ)も、素直に考えるととても適当な(適っている)言葉だなと思う。個人的・00年代アンセム『Keep Tryin'』で「情熱に/情熱に/お値段つけられない」と言ってしまった、そんな人のやることは大抵信用できることのような気もする。